第1章 甘い?甘くない?……やっぱり、甘い
やんわりと違うことを伝えようと思ったのだが、師範がズカズカと店主に近寄っていく。その雰囲気がもうドス黒いのなんのって。
「おいお前」
しかも圧倒的な年上に向かって「お前」ときた。
柱というのはどうしてこう何者にも上から目線なんだ。人によるけど
「俺とが夫婦(めおと)に見えるか?こんな別嬪が俺みたいな醜男の妻だと?失礼にも程があるだろうに謝れ」
「あ、あんた目が……」
ああ、ああ。師範せっかく片目を髪で隠してたのに、近づきすぎて虹彩異色症であることがバレてしまっているではないか。
「にはもっと相応しい色男が……」
師範が尚も店主に食いついているので、クイッと師範の羽織を摘んで引っ張った。