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微睡むお茶会【魔法使いの約束】

第1章 レモンティーの行方【ミスラ】冷→甘



結局どうするのが正解か分からず食堂にいた皆に相談することにした。

「賢者さまがそんなに悩むことないと思います!勝手に部屋の前で寝ているのはミスラさんなんですから」
ミチルがやや声を荒らげて言った。
「でも賢者様の気持ち分かりますよ。私もミスラおじさんに何か出来ればと日頃から思ってますから」
心配そうに頷いてくれるルチル。
「あっでも結局、賢者さまの部屋の前でも眠れなかったんですよね?なら、もう今晩からは来ないのではないでしょうか?」
リケの言葉に、確かにと思った。

「どうじゃろ?」
「どうじゃろな?」
スノウとホワイトが首を傾げた。
皆が双子の方へ視線を向ける。
「どういうことですか?」
「うむ、賢者の力が厄災の奇妙な傷の影響を緩和されるというのは確かじゃ」
「ミスラ自身も普段より眠れたと言っておったのがいい証拠じゃな」
うんうんと頷きつつ彼らの言葉を聞く。
「確証たる何かがあったんならミスラのことじゃ、少しでも眠れる環境に身を置き続けるじゃろうて」

…つまり今晩も?明日も?…明後日もずっと?
昨日に引き続き何とも言えない気分になってきた。

「俺の話ですか?」
後ろから突然声がして振り返ると、すぐ近くにミスラの顔があった。
思わず後ろに仰け反る。いつから居たのか屈んでそこに立っていた。間近で見る美青年の目元にはやはり立派なクマがあった。

「おっおはようございます、ミスラ」
「おはようございます」
ちらりと横目で見やるその表情も知ったつもりでいたのに、これだけ近いと心臓に悪い。

「ミスラちゃん、昨日眠れんかったのか?」
「はあ、眠れませんでしたね。」
「一昨日は少しばかり眠れたんじゃろ?」
「ええ、まぁ」
首に手を当てつつミスラは返事をする。
眠そうな目で空いている席を見つけるとそこへ腰を下ろした。

「何故昨日は眠れなかったんじゃろ?」
ホワイトの問いかけに、ミスラは少し考えた素振りを見せて
「わかりません。そう言えば賢者様もずっと起きていたようですね」
私の目元を見ながら言ってきた。
「あ、はい。ちょっと考え事をしていて…」
ミスラのことを考えていたとは言い辛かった。
私の返事を大して気に止めるわけでもなくミスラはネロが持ってきた朝食のクロワッサンを食べ始めた。
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