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微睡むお茶会【魔法使いの約束】

第1章 レモンティーの行方【ミスラ】冷→甘



「どうしました?2人とも」
「ミスラに懇々と言っておいたぞ!」
「絶対、賢者に手を出さないようにとな!」

「二人ともありがとうございます」
ミスラにそんな気はないだろうが、私を想って言ってくれた二人の厚意に心から感謝した。
スノウとホワイトにはここに来た時から沢山甘えてしまっている。
今度、二人にお菓子を作ってプレゼントしよう…。

「何かあったら大きな声をあげるんじゃぞ!」
「我らがすぐ駆けつけるからな!」

「ふふ、わかりました。スノウ、ホワイト」
心配してくれる彼らが見目と同じように可愛らしく思えた。
「気をつけるんじゃぞ!」

しっかり念を押してそう言うと二人は心配な顔をしたまま部屋を出ていった。



辺りが静まり始めた頃、突然物音がして部屋の真ん中に大きな扉が現れた。

「!?」
「お邪魔します」
扉から当たり前のようにミスラが出てきた。

「ミスラ!普通に入ってきてください!驚くじゃないですか!」
賢者の書を書いていたらいきなり扉が現れたのだから心臓に悪い。
「はあ、鍵が掛かっているかと思ったので」
相変わらず悪びれる素振りもない。
「ミスラが来ることは分かっていたので鍵は掛けてません!」
驚いた勢いで声も無意識に大きくなる。
「そうですか」
気にも止めずミスラは持参した枕とチョコレート色の毛布をカーペットに置き寝床を準備し始めた。

「あの双子…」
ミスラがこちらを見ないまま苦い顔をする。
「え?」
「さっきまで散々うるさかったんですよ。賢者様に手を出すなって」
相当言われたらしいことが表情で分かった。

「す、すみません。二人とも心配してくれただけなんです」

はあ、と大きく溜め息を付きミスラがこちらをじっとりとした目で見る。
「余計な心配ですよ。俺は寝たいだけなんですから」
うんざりだと言うようにまた視線を毛布へ戻した。

そう、ミスラはやはり純粋に睡眠不足を解消したいだけだった。
ミスラに悪いことをしたかもしれない。私が双子に大丈夫だと、きちんと伝えておけば良かったのだ。

「すみませんミスラ、今日は眠れるといいですね」
申し訳なくそう言うと
「賢者様が眠れば大丈夫なんじゃないでしょうか」
「そ、うですね。頑張ります…!」
ぐっと握り拳を作ってミスラを見上げた。
「頑張るものでもないと思いますが」
無表情で淡々と突っ込まれてしまった…。

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