第1章 泣く
だからこそ今回ホームに帰りたくないほど落ちている時に友達の家に泊まろうとしたことがひっかかった。
外泊届けには外泊先の連絡先やらサインも必要だからホームの事情をその家に説明しなければいけない事も精神的に楽ではない筈だ。
「その子の親が仕事で帰ってこないから他の友達も呼んで遊ぶって言われて、外泊届けはその子のお姉ちゃんが書いてくれるって……」
「お前な……」
呆れつつも先を促せばそのあとすぐ友達の家に行き、そいつの姉貴も簡単に連絡先やら住所やらを書いて寄越したらしい。
そのあとホームに戻りアンナが他の子供の世話をしているうちに書類だけ置いて出てきたという。
それは…アンナの事だからとっくに友達の家に電話してるだろうし下手したら迎えにいって本人の不在を知り警察に行っている可能性もある。
「馬鹿が、ちょっと待ってろ」
「や、やだ!ホームには!」
立ち上がった俺にしがみつくを宥める。
「今日は泊めてやる。連絡するだけだ、アイツの心配性を忘れたのか?間違いなく探してるぞ」
そこまで言ってやるとやっと事の重大さに気付いたのか涙も引っ込んで青くなっている。
とにかく電話だ。
案の定こんな時間だというのにコールが鳴るか鳴らないかのタイミングで通話状態になった。
『リヴァイ!?が!!』
「あぁ分かってる。うちにいるから落ち着け」
『え!?』
「さっき連絡がきて迎えに行った。見たところ無事だ。何ともない。」
『ほ、ほんとね!?ぅ、…よかったっうぅ』
「あぁ、だから落ち着け。おい泣くな。あと声のボリュームを落とせ、うるせぇ」
こんな時間にギャンギャンとそんな大声でどこにいるのかと思ったら警察だという。
手遅れだったか、まぁこんな時間だしな。
を見ればアンナの声が聞こえたのだろう、先程やっと落ち着いた筈の涙腺をまた崩壊させて泣きながら謝っている。
「警察には無事見つかったと言えば良い。ホームは大丈夫か」
『え、えぇそうね。ホームは手伝いに来てくれてる人が残ってくれているから大丈夫。今すぐを迎えにいくわ!』
「落ち着けと言っている。こんな時間にを連れて帰ってホームでどうするんだ?ガキ共起きてくるだろ」
『あ、あぁそうね……』
ったくどいつもこいつも抜けていやがる。