第1章 泣く
「あの、リヴァイありがとう。タオル向こうに置いてきちゃったけど…」
「あぁ適当で良い。ほら。」
ちょうど紅茶が入った頃戻ってきたにカップをひとつ渡してソファに座らせる。
ゆっくりと紅茶を飲み一息ついただが眉間にシワが寄ったかと思うとすぐにジワっと浮かぶ涙。
だからやめろ。説教する気が萎えるんだよ。
思わず出てしまった俺のため息にビクリと肩を跳ねさせる。
こんなを見るのは久しぶりだな。
「どうした。話せ。」
隣に座りぐしゃぐしゃと頭を撫でてやればポタポタと涙が流れ落ちる。
こんなことならタオルは洗濯に出さずに持ってこさせればよかったな…。
仕方ないので一度立ち上がり新しいタオルを出してやってからしばらく撫でてやるとポツリポツリと話始めた。
「今朝ね、アンナさんと、喧嘩したの」
アンナとはホームの責任者での親代わりの存在だ。まぁ俺にとっても親みたいなモンだが…。
様々な理由で家族と暮らすことが出来ない子供が暮らす孤児院で、アンナは分け隔てなく、笑い、叱り、子供達を育てている。
俺ももガキの頃こそよく叱られて反抗したり不貞腐れることもあったが、ホームに住めるのは高校卒業までと決まっている性質上、おのずとガキどもの1番上になり色々と面倒をみてやる事になるので高校に入ってからはアンナと揉めることも減る筈だ。
特にはアンナになついてから喧嘩なんてほとんどしなかった筈だ。
「どうしてもホームに帰りたくなくて、学校帰りにブラブラしてたら友達に会って、うちに来たらいいって言われて…。」
そんな事なら初めから俺に連絡してこいと言いたくなったがそんな事よりもホームに帰りたくない状態だったのに友達の家??
俺はそもそも他人の家に泊まりに行きたいと思ったことなんて無いが、ホームに住んでいる子供が友達の家に「誕生日パーティー」だの「お泊まり会」だので遊びにいくと一般家庭の環境とホームの違いにショックを受けるヤツが多い。
も小学生の頃クリスマスか何かのイベントの時に友達の家に泊まりに行って帰って来てから楽しかったと笑いながら泣きだしたのを覚えている。
「楽しい」だけでは無い何かがあったのだなと思いその時もこうして撫でながら話を聞いた気がする。