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君がため【鬼滅の刃】

第7章 卒業おめでとう【不死川実弥】




先生が……優しい。


優しいっていうか……可愛いとか似合ってるとか…リップサービスするんだ…意外過ぎた…。


車内は誰が歌ってるとかよく知らないけれどポップ過ぎず、ムード過ぎない、良い感じの洋楽が流されている。


進学予定の大学の話や、数学の事などを話している間に目的地の店に着いた。




絶対高校生は入れない、ちょっと小洒落た隠れ家風の小さいレストラン…。チョイスが秀逸で面食らってしまう。


『…私…入って大丈夫ですか…?』

「当たり前だろォ?行くぞ」


スタスタと前を歩き店の扉を開ける。チリンチリン…と扉につけられた小さな鐘が鳴り、店員さんが先生に気づき声をかけていた。

こちらにどうぞ…と半個室へ通され、店員さんが私の椅子を引いてくれた。


前に母から義父を紹介された時も…こんな感じのレストランだったけれど、椅子を引いてもらう事はなかったな…なんて全然関係ない事を思い出して無意識に気分を落ち着かせようとしていた。



店員さんからメニューを渡して、頭を下げて去って行った。



『……とんでもなく場違いな気がするんですけど…私。…こんな格好で良かったですか…?』


「俺だってそんなカッチリした服着てるわけじゃねえし。大丈夫だっての。…よく似合ってる。」


メニューに目を落としながら、また似合ってると言う先生。


赤くなってしまう顔を隠すように私もメニューを見た。



「食いたいもんあるか?」

『……お…お任せしたいです…。』

「ははっ!!、緊張してんのか?」

『…そりゃあ…もう…』


大人な、先生は…誰かと此処へ来たことがあるんだろうか?慣れた感じで店員さんを呼び注文をしている。


『…はあ…大人、ですね』


店員さんが下がってからグラスの水を一口飲んで、声をかけた。


「そりゃまあ…お前より何年か長く生きてるしなァ。」

『…そうですねえ。…遠いです。』

そう、遠いんだ。高校生と先生では…年齢も経験値も…遥かに及ばない。その決して埋まることない距離に…不安になる。


「…急いで大人になる事ねえよ。これから「大人」でいる時間の方が遥かに長いんだ。」


ゆっくり先生の方へ視線を向ければ、また…優しく微笑んでくれていた。



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