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君がため【鬼滅の刃】

第17章 贈り物を貴方に【悲鳴嶼行冥】




「欲しいモノがあるのか?」

ゆっくり私の頭を撫でながら微笑んで聞いてくれる。


『…行冥さんが良い。…行冥さんに…、毎日ご飯作りたいんだけど……どうかな?』



驚きを隠せないといったような表情。頭を撫でる手も、一瞬ピクっと震えた。



……結構大胆な事を言ったしまったという自覚はある。…要はプロポーズだしね…。



「…参った。…私から言うつもりが先を越されてしまった。」

『…え?…あの……』

「プレゼントを決めかねていたと、先程話したな。」

『はい…。』

「…婚約指輪を…選びに行こうと思っていたんだ。…本当は私が1人で選ぶモノなんだとは思うが…、何度足を運んでもどれが良いか決めかねてしまって。…紗英が着けるモノだから、一緒に選んでもらおうかと…。」



嬉しくて…言葉が出ないって…こういう時の為の表現なんだ…。



恥ずかしそうに少し頬を赤く染め、ポツリポツリと話してくれる姿も…愛おしくて、涙が止まらないの。



『…せんせぇ…っ、』

「先生じゃない。」

『…行冥さん…っ、好きです…』

「ああ、私も紗英が好きだ。…毎日、ご飯を作ってくれるか?」

『…はい…っ、いっぱい食べて下さいね…ッ』

「…勿論だ。指輪も買いに行こう。」

『はい…、っ…勿論です!』

「存外、紗英はよく泣くんだな。」

『…それだけは行冥さんに言われたくない…』

「…なんと。…南無三…」


散々2人で泣いて、笑って…いつの間にか眠りについていた。


翌朝、流石に腰が言う事聞かなくて婚約指輪を買いに行くどころではなかったけれど、密かに行冥さんが買っていた結婚情報誌を2人で見ながら穏やかなを1日を過ごし、夕方には流石に歩けるまでに回復したのだった。



「…来週は指輪を買いに行こう。」

『はい!…あの、また…泊まっても良いですか…?』

一瞬キョトンとした顔をしたかと思えば、優しく微笑んで頭を撫でられる。

「…此処に住むか?…帰したくない。」



嬉しくて、また泣いて…笑って…二つ返事で住みます!と返事をすれば、また優しく微笑んでくれる。


20歳の誕生日。…大きな大きなかけがえなのない贈り物を受け取った。



願わくば…この贈り物を、大事に…これから2人で育んでいきたい。







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