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君がため【鬼滅の刃】

第7章 卒業おめでとう【不死川実弥】




ちらほら…と、帰宅してゆくクラスメイトたち。

それぞれこのまま遊びに行ったり、これから入試を控えている子達は帰って勉強しなくちゃ…と言いながら教室を後にしてゆく。



「紗英、帰らないの〜?」

『うん、カナエ先生に借りてた本返さなきゃいけなくて。』

「そっか、そっか!じゃあ、先に帰るね〜!引っ越す前に集まろう!連絡するからー!」

「バイバーイ!」

『うん、またね〜!』



友人達を見送り、カナエ先生に借りていた本を返すため生物準備室へと向かった。





ーーーーーーーー




『…あれ?鍵かかってる…。』


基本的に生物準備室にいるはずだけど…まだ卒業式の後片付けや職員会議があるのかも。


念のため、先生の携帯へメッセージを入れて図書室で待つ事にした。



図書室も…3年間よく入り浸り…いや図書委員だったからだけど。昼休みも放課後もたいてい此処で過ごしていた。


『…もう、今日で最後なんだなあ…』


ポツリと呟いた言葉が1人きりの図書室に響く。



書架の間に椅子を置き、ページを開けば古い本独特の匂いがした。このなんとも喩えがたい匂いが好き。



夢中で読書していたら、気付けば外は暗くなっている。


…!、もうそんな時間?…カナエ先生から返信あったのかな?


急いで携帯を確認すると、3時間ほど前にメッセージが届いている。今日は時間が取れそうにないから春休み中にどこかでランチしましょうという内容だった。



…わかりました!…と、返事をして帰ろうと椅子から腰を上げた。





「…誰かいるのかァ?」


ガラガラと図書室のドアが開かれ、不死川先生の声が聞こえてきた。


遅い時間なのに図書室の明かりが付いていたから見回りに来られたのだろうか。


『!!…すみません、もう帰ります!』


「その声、…安積か?」


書架の間から顔を出し、あはは…と苦笑いしてみせた。


卒業式の前に話したのが生涯最後…と思っていたのに、まさかこんなソッコーで顔を合わすとは。…気不味いような。…嬉しいような。






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