第6章 朝日が昇る【竈門炭治郎】
「…卑猥だなあ…っ、紗英…蕩けた顔で、そんなおねだりして…ッ」
カリッと犬歯で強めに乳首を噛まれた。脳天にまで響く痛みさえも甘い痺れとなり全身が震える。
『い、ッ!!ぁ、あ!も…ッいっちゃ…っああ!!ッ』
「…っ、凄…きつッ……!!ぅ、ッ…俺も…っ」
押し寄せる快感に身を委ね、炭治郎くんと目が合った瞬間に達してしまった。ぎゅううっと炭治郎くんの昂りを締め付けるのが分かり、一寸遅れてから炭治郎くんが小さく喘いで膣内に白濁を放った。
僅かに腰を震わせながら、ビクビクと中で吐精し続けている。
…いっぱい、出てる…。
ぼんやりした頭でそんな事を考えていたら、頬を撫でられた。
『炭治郎、くん…』
撫でる手にそっと自分の手を重ね置く。
「…好きだよ。紗英が…ずっと。俺は、…俺が紗英の側に居たい。…側に立てるような男になるよ」
『うん…、うん…っ』
涙を流しながらする口付けは……少し塩っぱくて…切なかった。
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その晩、夢を見た。
『絢瀬……っ』
炭治郎くんに抱かれ、その腕の中で眠っているはずなのに…夢に出てきたのは、死んだその日から夢の中にさえ現れた事がなかった絢瀬だ。
焦がれ続けた男が目の前に居るのに…その足は踏み出す事を躊躇している。
「やぁっと、安心して逝けるわ!」
ガハハ!と大きな口で、掠れた声で笑っている。
「竈門炭治郎なら、大丈夫だ」
『…絢瀬…』
「大丈夫だ」
私を真っ直ぐ見据える強い瞳。大きな身体に、掠れた声で…あの頃と一つも変わらない姿。
『……思い出に、なりそうなの…。ごめん、なさい…。』
大きな腕、私より遥かに上背のある広い胸に抱きしめられる。
「阿呆だなあ。…それで良いんだ。幸せに、なってくれ。」
微笑み、ゆっくり消えて逝く…。もう、二度と夢の中にさえ出てこないだろう。それで良い…。これで、良い。
消えてゆく光を手ですくい、握り締めた。
『…阿呆で悪かったわね…っ!』
泣いているのに、笑っていた。
『ありがとう、孝春…さん。』
握り締めた手の中で、ゆっくりと光は消えていった。