第6章 朝日が昇る【竈門炭治郎】
朝、目覚めたら隣で寝ていたはずの炭治郎くんがいなかった。
……帰った…?、いや…鍛錬に行っているのかしら…ーー?
身体を起こせば、僅かに身体の奥に違和感があった。男女の営みの後に残る…甘い違和感。
『!…っ、ぁ…ー。』
動くと中から零れてくる、昨夜の名残が脚を伝う。
炭治郎くんの所在が気になったが夜着から着物へ着替え、最後の…墓参りへと向かう。
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絢瀬の墓に近付いた時、誰かが居ることに気が付いた。
炭治郎…くん…ー?
隠れる必要ないのに、思わず隠れて気配を消した。
「…絢瀬さん、俺はあなたが羨ましいです。」
声が、聴こえる…。
「いつも紗英の心の中に居て、いつだって…紗英の支えだ。…貴方が、紗英の強さだと思う。俺は…貴方の代わりにはなれないけど………、いや。ならない。…俺は、俺だから。…俺が紗英を守ります。…幸せにします。」
…漏れてしまいそうになる声を手で押さえた。
『……っ、炭治郎くん。』
「紗英…?…居たの?」
『………孝春さん、此処にくるのは今日で最後だから。…ずっと心配かけて、ごめんね。…もう大丈夫よ。安心してね。』
ふう…と一つ息を吐いた。
『…炭治郎くん』
「!…っ、はい!」
『ありがとう、好きになってくれて…』
「はい…、はいっ!…好きです、紗英の事…俺がずっと、守ります。幸せにします。…だから、俺の側に…居て下さい。」
『…こちらこそ…居させて下さい。…………帰りましょうか。しのぶに怒られちゃうわ。…っ!』
ぎゅうっと抱き締められる。…暖かく心地良い。
「…紗英の作った朝ご飯食べたい…。米、俺が炊くよ。上手いよ、俺」
『ふふっ…ー!…そうね。食べましょうか。…何が好きかしら?』
穏やかな朝の光に包まれながら、2人帰路についた。
お日様みたいな笑顔。…この笑顔を、この距離で…ずっと見ていたい。