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君がため【鬼滅の刃】

第5章 今夜、君と恋に堕ちる。【不死川実弥】




「待てっ!!、おい!紗英!!!」

全速力で走る紗英に追いつき、その手を掴んだ。

「…勝手に帰んな。」

『離して…ください』

「離さなねえよ。」

『離してっ!!もう、…っ…お願い……離して…』

どちらの「離して」だろうか。この手か、この関係か。俺は一層力を込め紗英の手を強く握りしめた。


「…離してやれねえ。絶対…お前の事、離さねえ。」

『…なんで……?…もう…終わりにしよう…だから、…離して』

「ああ。終わりにしよう。」

涙をその瞳いっぱいに溜めて、零れ落ちないよう必死で堪えていたが終わりにしようという言葉を聞いて、一粒…その頬に雫が落ちる。

「好きだ紗英。…だから、この関係は終わりにしよう。今日から…、今からっ…もう一回、始めさせてくれ」

『……不死川、さん…』

「もう、泣かせねえから。俺と…もう一回始めてくれないか?…ちゃんと、付き合おう紗英」


避け続けてきた言葉を、やっと…紗英に伝えられた。

『…もう一回、言って…?』

「…?…、付き合おう…」

『そこじゃなくて。』

「……好きだ、紗英……っ」

繁華街の中、人目も気にせず抱き付いてくる。不意をつかれたせいで、少しよろけてしまった。

『…好きっ…私も…不死川さんの事、大好き…』

「…遅くなって悪かった。」

震える肩を抱き返し、紗英の髪に顔を寄せた。


遠回りし過ぎた旅が…終わり、ようやく同じ路を歩み始める。

宇随に触発されなきゃ動けなかったのが悔しいが…結果的には、そうでもされなきゃ気付けなかった自分の不甲斐なさを恥じた。


「…行くぞ」

『!!、どこ…っ、?待って!』

紗英の言葉を無視し、繁華街の外れ…

怪しくネオンが輝くホテルへと入っていった。



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