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君がため【鬼滅の刃】

第5章 今夜、君と恋に堕ちる。【不死川実弥】




翌朝、寝不足の重い身体を引きずるように出勤した。


『おはようございます!不死川先生』

「!!…っ、お、おう。…はよ…」

職員室に入れば、いつも通りにこやかに挨拶してくる紗英。

少し、ホッとしたような。…でも異様に胸がザワつく。

「おはよー、安積ちゃん今日も派手に美人だな!」

あ〜可愛い!と言いながら宇随が紗英に纏わりついている。


「!!…ー、おっ…!!」

手を伸ばし、止めようとしたところで躊躇われた。

俺に…宇随を制止する権利なんてねえだろ。昨日、手を出して良いか?と問われ、好きにしろと言ったじゃねえか。

……情けねえ。


「ダメよ。宇随先生、紗英が困ってるじゃない」

カナエ先生がさらっと宇随から紗英を引き剥がした。

「カナエ先生、安積ちゃんと知り合いなの?」

「ええ。大学の後輩なの。可愛いでしょ?……下手に手を出したら呪うわよ?」

ゾクっ!!とするような低めのトーンでまあまあ怖い事を言ってのけた。職員室中の男が震え上がった気がする。その中で俺に至っては、悪寒と冷や汗が止まらない。…殺されるんじゃないだろうか、俺…。


『私、紗英のセコムだから〜うふふっ」

保健室にいやがる目付きの悪いガキより、最恐セコムだと思う。


「…真剣なら、良いってことだよな?」

怯まない宇随は紗英の顎に手をかけている。

『宇随先生…ここ、学校なんで。皆さんいらっしゃるので。』

「じゃあ…学校じゃねえとこで。な?」

顎にかける手をパッと離した。紗英は赤くなるでもなく、戸惑うでもなく軽く笑いながら、そうですね〜と流していた。

最恐セコムのカナエ先生に怯まない宇随も、学校1の色男に迫られても意に介さない紗英も…どちらも強者だと思う。


そうこうしている間に予鈴が鳴り、各々授業へ向かっていく。


「…安積、行くぞォ」

『はい、宜しくお願いします!』


微妙な距離感を保ったまま、2人で授業に向かった。




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