第17章 贈り物を貴方に【悲鳴嶼行冥】
先にお風呂に入らせてもらい、寝室で先生を待っていた。
…いつもは寝る時、ブラジャー着けてるけど…今日は着けてない。それに、ショーツも…レース地といういう、少し大人っぽいデザインにしてみた。…パジャマは…夏だからという事でキャミソールにショートパンツ…。
これなら、先生だって…ちょっとは意識してくれるんじゃない!?
意気込みだけは万全だけど、内心…初めてだし…友達の話を聞く限り、初めては痛いって言うし…ビビりまくりだけど…。
きちんと2組敷かれた布団。
だんだんといたたまれなくなってきて、布団に転がり枕に顔を埋め大きく溜息を溢す。
……もう、大人…だから。
先生にもっと…近付きたい…触れてほしい。…こんな気持ち…恥ずかしいけど、知ってほしい…。
枕カバーをギュッと掴み…、もう一度大きく溜息を吐いた。
「…待たせたな。」
襖を開ける音と先生の声が同時に聴こえ、パッと顔を上げその方向へと顔を向けた。
湯上りでほのかに火照っている大きな身体。薄手の白いTシャツに下はハーフパンツとラフなスタイルだ。
『ううん…、大丈夫。』
何度かお泊まりしてるから、こういう姿も見た事あるはずなのに…何故か目のやり場に困り視線を彷徨わせてしまう。
「…紗英。」
『は…、っはい!!?』
緊張し過ぎて、ただ名前を呼ばれているだけなのに上擦った声で返事をしてしまった。…あぁ、もうこれ…絶対変に思われてるな…。
悲鳴嶼先生は向かい合うように布団に座り、ふっ…と笑ってその大きな手で頭を撫でてくれる。
「今日は誕生日だったな。…おめでとう。」
『あ…、ありがとう…。』
…覚えててくれたんだ。…嬉しい…。
「誕生日プレゼント…なにが良いか決めかねてしまって…、実はまだ用意出来てないんだ。明日一緒に買いに行こう。」
『え!?…ぁ、…はい…。嬉しい…ありがとうございます。』
誕生日を覚えていてくれていただけでも嬉しいのに、プレゼントも。…決めかねてって事は、何度かプレゼントを選びにお店に足を運んだりしたんだろうな。
その姿をちょっと想像して、とんでもなく暖かい気持ちになってしまう。
「何か、欲しいものはあるか?」
……私の、欲しいもの……