第15章 恋スル乙女【竈門炭治郎】
炭治郎くんの作ってくれた夕飯を食べ終え、禰豆子とお風呂に入り、湯上りに少し縁側で涼んだところで…ようやく私の気持ちは落ち着いてきた。
…なんだか、悩んでも仕方のない事でグズグズしてしまった。
せっかく炭治郎くんが夕飯を作ってくれたのに、その味も全然覚えてないなんて。
…年齢差なんて、今更思い悩んでみても縮まるものでもあるまいし。
思えば絢瀬と私も10近く歳が離れていた。今の私のように、絢瀬も…こんな事を考えたりしたんだろうか?
ふぅ…、と溜息を零し視線を落とせば、私の膝を枕にして禰豆子がうとうとし始めていた。
その眠りに落ちそうで落ちてゆかない微睡の顔が、なんとも可愛らしくて…つい口元が綻んでしまう。
「禰豆子、寝ちゃいましたか?」
振り向けば、湯上りの炭治郎くんがすぐ後ろに立っていた。
『ええ。…二階のベッドに運んでくるわ。』
膝上の禰豆子を抱えようとすると、炭治郎くんがそれを制した。
「俺が運びますよ。…紗英さんは居間で待っていて下さい。」
にこっと笑い膝の上で眠る禰豆子を抱き上げ足早に去って行ってしまう。
炭治郎くんが禰豆子を寝かしに行っている間、お茶でも淹れようと私も立ち上がり…炭治郎くんの言うように居間で待つことにした。
「お待たせしました!」
丁度お茶を湯呑みに注いでいるところへ、炭治郎くんが戻ってくる。
『ありがとう、連れて上がってくれて。』
お風呂上がりで前髪が落ちている炭治郎くんは、いつもより幼く見えるのに…どうして、だろう…?…少し色気を感じて、お腹の奥がキュっと切なく震えた気がした。
「…紗英さん、今日…どうしたんですか?…禰豆子もいつも以上に紗英さんにべったりだったし、俺…なんか禰豆子には怒られてたし…。…気に触る事しちゃったんですかね?俺…。」
ずぅぅぅん…と効果音が付きそうな程、炭治郎くんは肩を落として悄気てしまった。
その様子が少しおかしくて小さく笑ってしまう。
『ふふ…っ、いや…ごめんなさい。…私が…くだらない事考え過ぎちゃって。…禰豆子が気遣ってくれていただけなの。後で叱らないであげてね。』
そう言うと炭治郎くんは、私を抱き寄せキツく抱き締めた。