第2章 おつかい
「なんかカワイソー。じゃ、今年の夏は海もお祭りもどっこも行けなかったの?」
「ん?…海は行った(笑)」
「じゃ、いいじゃん!」
「フフ。そうだね。でもお祭りとかはもう、ずっと行ってないかな…」
ま、コンサートもお祭りみたいなもんだけど。花火も上がったりしてね。でもアンズ飴とか射的とか、そういう『いかにも!』ってのは…なかなか。
「カノジョと行けばぁ~?」
「ミキ!」
「…行きたいねぇ」
「え。…そうなの?」
「そりゃー…そうでしょ。だって。人目につくとこでデートなんてできないし?すぐスクープされちゃうから??」
「そっかぁ…。タイヘンなんだねー、やっぱ」
「そーなのよ。…ま、自分が悪いんだけどサ?」
「え。何で?悪いことしてたの?」
「…」
直球(笑)。
さすが中学生。どんな記者もかなわないね、このストレートさには。
「ミキ。そういうこと聞くもんじゃないの。プライベートなことなんだから」
「えええ~?だって知りたいんだもん。プライベートとか意味わかんない。大ちゃんは大ちゃんじゃん」
「…」
まあ、そうだよな。確かに。
「えー、じゃない!そういう無神経なことばっかり言う子はっ、みんなに嫌われるんだよっ!」
「!」
…ありゃりゃ。女将さんマジギレ。
ちょっと本気だったから、ミキもちょっと涙目になっちゃってるし。