第1章 思春期
女将さんの手伝いしながら、いろいろ、将来の夢の話とか。いつも通りキラキラした目で話してくれて。
「自由研究?」
「そー。メンドクサイんだけど、もう中学最後だったしさぁ」
夏休みの自由研究で連続写真…成長が早い種類の花の、育ってく過程を毎日決めた時間に撮るってのをやってたらしい。
でも風邪で寝込んで。気づいたら枯れちゃってて。途中の過程を撮れなかったんだって。ちゃんと咲いたかもわかんないらしい。
「咲いたらすごいキレイな花なんだよ!」
「へー」
「こ~んな、おっきい花びらがねっ」
「ふんふん」
あんまり熱があるから、俺もつられて。何かしたくなっちゃって。
広告の裏…。書くもの…。あ。
「コレ借りていい?」
ホワイトボードのマーカー。ちょっと薄いけど。
キュキュッ カキカキ…
「あらぁ。さすがねぇ。上手いもんだ」
「?ナニ?」
「ハイ」
「え?」
「こんなカンジ?」
「…!」
咲き誇った花…っぽいイラスト。本物知らないから、ミキの話からのイメージで。ま、酔ってるから雑だけど。てかこんな花ねえな、現実世界に(笑)。