第1章 思春期
「…ごめんねぇ、大ちゃん」
「いやいや…」
「あの子、自分がいろいろうまくいかなかったからって、当たってんだよ」
「そーなの?」
聞いたら、つい最近の模試の結果がすごい悪くて。行きたい高校ダメそうなんだって。
そっか。中三。受験だよね。進路とか…。大変な時期だ。
「俺もう事務所入ってたからなぁ…」
「そうなのかい?中三で?」
「うん。だから受験とか、あんま記憶ないや」
「大ちゃんみたいに何か…他に得意なことがあればいいんだけどねぇ。不器用な子だから」
「将来何になりたいの?ミキ」
「夢みたいなことばっか言ってるよ。ジャングルだのアマゾンだの…」
「ジャ、ジャングル!?」
アマゾン…??
「…」
冒険家?
「写真撮る…ホトグラ…なんだか?カメラマン?だかになりたいんだってさ(笑)」
「あ、写真家か!へぇ~!」
「そんな、写真なんてねぇ?」
「何で?いいじゃん、写真家。カッコいいって」
「写真がなにー?」
あ、降りてきた。未来の…フォトグラファー(笑)。