第3章 デート
「でも、いーよ?お兄ちゃんじゃなくても」
「え?」
「しょーがないからぁ、今だけデートしてあげる♪」
「…」
ん?
「あ。チョー特別だかんねっ!うちに着くまでだから!」
「…ハイ(笑)」
「じゃ、もうちょっとゆっくり歩いて?大ちゃん速すぎ」
「…スイマセン」
「カノジョには、ちゃんと優しくしなきゃダメなんだからね?わかってんの?」
「ハイ、スイマセン…(笑)」
「あ。ほらぁ。『俺が荷物持つよ』とか言ってよ。カレシなんだからぁ。ほんっと気が利かないなー」
「…」
何か設定あやしくなってきたな(笑)。
「…荷物、持ちましょうか?」
「ウム、苦しゅうない!」
「…誰よ」
「殿様!(笑)」
いやいや
「せめてお姫様でしょ」
「お姫様なんて柄じゃ…。あ!じゃあアレやって!お姫様抱っこ♪」
「無理。腰やっちゃう」
「ヒドッ!そんな重くないし!」
「いや~…俺とそんな変わんないでしょ。背だってそんな?変わんないんだから?(笑)」
「全然違うじゃん!あ、わかった。じゃあね、じゃあ…フツーに、おんぶでいいから♪」
「…」
「お・ん・ぶっ♪」
これは~…
「…足濡れてて気持ち悪いんでしょ」
「バレた?(笑)」
「てか、もう乾いてるよねぇ?」
「あれ?バレてたぁ?(笑)」
「こいつっ」
ミキなりの慰め、なのかな。
…違うか(笑)。
ハ~…
なんだろ
わかんないけど
何か
繋がってるこの小さな手が、たまらなくいとおしく思えて
「…」
もっかい、しっかり握り直した。