第68章 不安分離症(ゾロ)
「おれは浮気なんかしてねぇしするつもりもねぇ。」
「…」
「なぜあの女が居たのかは分からねぇが、おれを介抱してくれていただけだ。」
「…」
ただ黙っておれの話を聞いているライカ。未だに俯きで顔もよく見えないけど、触れたい衝動を抑えながらおれは最後に言いたいことを言おうと決意した。
「…おれは女はライカしかいらねぇ。本当に悪かった。」
しばらく離れたほうがいいか、と思い立ち上がればくん、と着流しの裾が引っ張られた。
「…ライカ?」
「…ほんとに浮気してない、の?」
「あぁ。するわけねぇ。お前に誓う。」
その言葉にライカと漸く目が合った。
余程泣いたのか赤く腫らした目尻からは、一筋の涙がこぼれ落ちていた。
「…ずっと探してくれてたんだろ?」
「…うん、探してた」
「悪ぃ。こんなに冷えて…」
赤くなった足元が目に入り、触れようとしたが先程手を弾かれたことを思い出して、動きをとめた。
「…ゾロ、」
「…なんだ?」
「…ゾロ、ゾロ…っ」
ぎゅうとおれの着流しを握りしめるライカに堪らなくなり、振りほどかれてもいいと思い抱きしめた。
そうすればするりとおれの背中に回された腕に安心する自分がいた。
「…ゾロっ…」
「あぁ、ここにいる」
慰めるようにライカの背中をトントンと優しく撫でる。
おれはどうか涙が止まりますようにと願いを込めて彼女の目尻にキスをおとした。
「…暫く寝てろ。」
「…でも、」
「…ちゃんと、居るから」
おれに横抱きにされて腕の中にいるライカにそう囁けば、彼女は安心したように眠りについた。
不安分離症
おれはお前しかいらないから
(あらー、こんなとこでふたりとも寝てますねぇ…)
あとから追いかけてきたブルックが
こんないい天気のなか寝るのもわかりますよ、と
ふたりを見守りながらほほ笑んでいた。
end
______
浮気疑惑!?みたいな。
ゾロは浮気しないと思うけど
こういう勘違い系は多い気がする。笑
おまけ▶︎▶︎▶︎(2ページありR18)