第63章 SS(色々)

影山飛雄(ハイキュー)
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「おい！影山！」

「んだよ日向」

「今のは俺のボールだろ！」

「はぁ？？」

ぎゃいぎゃいと相変わらず絡んでくる日向に辟易してる俺。まぁもう慣れたけど。

「ちょっと翔陽！今のは影山くんのでしょ！」

「え、頼華まで影山の味方か！」

んにゃろー、と間に割って入ってきた日向よりも小さい女。うちのマネで日向の幼馴染だ。


実は俺はこいつが気になってる。

試合の時、俺は若干のスランプに落ちていたけど。なかなか思うように上がらないトスに苛立ちさえしていた。

そんな時。


”影山くん、がんばれ！”


いつもなら烏野、と叫んでいるはずの彼女の口から発せられた俺の名前に、俺は最高のトスが、あげられた。

心の奥に閉められていたはずの思いが、顔を出したのだ。


はっきり言って、彼女には俺はただの同級生でチームメイトなだけ、たったそれだけなのだろうけど。
あの日から、俺は彼女の口から”影山くん”と言われる度に鳴り止まない鼓動に乱されまくっていた。

「はい、影山くん」

「…あぁ、ありがとう」


にこにこと笑顔を振りまいて今日も今日とて、スポドリとタオルを渡してくる。


「影山くん…？」

「…なに」

「どうしたの？顔、怖いけど」

「…何でもねぇよ」



どうやら顔に出すまいとしていたが、顔が引き攣っていたようで彼女に指摘されて気づく。…怖い、か。


「何かあったら、話くらい聞けるから言ってね？」

「…ありがとう」

「…えっと、やっぱ、何かあるの…？」


どうやら彼女が立ち去ろうとした際に俺は咄嗟に手を掴んでいたようで。俺より細っこい小さい手首。離したく、ない。

「…影山くん？」

「…俺、龍ヶ崎が好きだ」

「…へ、」


ボンッと顔が真っ赤に染まる龍ヶ崎。あぁやべぇ可愛すぎる。今が部活中とか、もうどうでもいい。

「龍ヶ崎が、ほしい」

「か、げやまくん…」

「俺と付き合って」

「へ、ぁ…」

「俺の事嫌いか？」

「そん、なわけない！」


やっと合った、龍ヶ崎の目。俺だけを見据えている彼女の目。


「あ、たしも…ずっと前から好き、だよ」




俺の名前を呼んで



キミの口から紡がれる俺の名前にいつも心が揺さぶられるんだ。



end