第63章 SS(色々)
黒尾鉄朗(ハイキュー)
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”仕事と私、どっちが大事なの!?”なんて少女漫画じゃよく見るセリフ。それを彼氏であるクロに言ってしまったのだけれど。
そもそもバレーと私を比べる対象ではないのを分かっているのに。
幸いなことにクラスは別々だから顔を合わせることもないし、すれ違ってもどうしたらいいか分からず完全無視を決め込んでいた。
最初は電話が鳴り止まなかったのに、日を追う事にそれも減っていって。もう、ダメかもしれない。
また、携帯が鳴りだした。”夜久さん”と表示されるディスプレイ。色んな思考が回り回ったけど、私は通話ボタンを押した。
「夜久さん?どうしたんですか、こんな時間に」
「…」
「?夜久さん?」
向こうからの返答がない。どうしたんだろう。
「夜久、さん?」
「……頼華?」
「え…」
私はまたディスプレイを見た、いや確かに”夜久さん”と表示されているから。なのに、聞こえてきたのは久しぶりに聞くクロの声だった。
「っ…」
謝りたい、今しかない、そう分かってるのに言葉が中々出ない。
「…頼華、今から少し出れる?」
「あ…うん。」
「あー、その…家の前まで来てんだよね」
「えっ…!」
2階の自分の部屋からカーテンを開けて下を見れば、久しぶりにみるクロと夜久さんの姿があった。
私は慌てて1階に降りて、玄関から飛び出した。
夜「そんなに焦って転けなかった?大丈夫?」
「あ、えと、大丈夫です!」
夜「そっか。まぁコイツが何か話あるらしいから聞いてあげてよ。」
俺お先ー、と夜久さんはあっという間に帰ってしまった。
「あー、その、だな…俺たち、さ」
あぁもう、きっとダメなんだ別れを言いに来たんだと思うと目の奥が熱くなる。
「え、ちょい頼華さん!?なんで、泣いて…」
「わ、たし別れたくない…っ!」
「…は、え?」
「クロ、ごめん、なさぃぃぃ」
止まらない涙にわあぁと泣いてしまった。そこに温かい温もりが来た。クロ、だ。
「…俺だって別れる気ない。仲直り、しよ?」
「…いいの?」
「いいに決まってる。頼華じゃないと俺が嫌なの」
終わりから始めよう
「電話は出ねぇし、学校じゃ無視すっし…さすがに耐えられなかった」と言う彼の顔にごめんねのキスをした。
end