第63章 SS(色々)
泉孝介(おお振り)
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「ねぇ!高瀬さんかっこよくない!?イケメンすぎる…」
「…はぁ。」
何度目の溜息か。桐青との試合前に、監督が撮っていた以前の試合をメンバーで確認しているときに俺の隣で俺の肩をバシバシ叩きながら言う彼女。
一応野球部のマネで、俺の彼女なのだが。所謂面食いの彼女は”イケメン”に弱くて、何故俺と付き合ってるのかイマイチ分からん。
「ちょっと孝介、聞いてる!?」
「あーはいはい、聞いてる。つか情報収集できねぇだろうが。」
「あ、ごめん。」
耳が生えていれば恐らく今垂れているであろう彼女は、隣でまたブツブツと高瀬さん、かっこいいーなんて言いやがる。
「あ!りおーくんじゃん!」
「!?」
りおーくんて誰だよ、おい。まぁ一応マネとして、桐青のメンバーを把握しているだろうこいつから”りおーくん”、だと!??
「…え、なに怖いんだけど孝介」
「…りおーくんって誰だよ」
「え、あ!ほら!今ちらっと映った子!」
「何、知り合い?」
「開会式のときにね、声かけられた!」
「…へー」
それ、ナンパじゃねぇのか。大体桐青のやつと話したなんか、俺聞いてねぇぞ。
「連絡先交換したんだ!」
「……は?」
おいおいおい、ちょっと待て。まさかの連絡先まで交換してやがる。
ふつふつと、俺の中に湧き上がった何かが同時に切れる音がした。
「…おい、頼華」
「な、に…っん、」
隣に座ってる頼華の手を引っ張って、無理やり口付けた。それだけじゃ、俺の気は晴れなくて。そのまま深く絡め取ればびくんと跳ねる身体が可愛くて。
抵抗してくるかとも思ったけど、不思議と抵抗してくる素振りもなくて。
そろそろ苦しくなったのか、俺の胸をとんとんと叩いてくる頼華に漸く俺は唇を離した。
「は…な、んで…っ」
顔を真っ赤にして口に手を当ててこちらを睨む頼華に俺は口を開いた。
「…お前は俺だけ見てりゃいーの」
絶対服従
頼華の口から出る男の名前は俺だけでいい。
花「…何やってんだあいつら…」
田「うわ、すげー泉!」
阿「泉でも嫉妬すんだな」
end