第51章 心癒場所(玄奘三蔵)
「これ絶対おかしいだろうが!!」
「地元の人がこの道だって言うから仕方ないじゃないですか」
「これ、道じゃねーだろ!」
「…てか、これどこいってる訳」
「はぁ?お前聞いてなかったのかよ!?三蔵んとこ行くんだよ!」
ガタガタと鳴り響くジープに、いつの間にか乗り込んでいた。
「…三蔵を追いかけるの?」
「あぁ?お前行きたくねーの?」
「頼華はやっぱ三蔵の隣じゃないとさ!」
「…悟空」
「大丈夫ですよ、頼華さん」
この山に、彼は居るのだろうか。彼に、会いたい、けど、会いたくない。よく分からない感情が私の中を駆け巡る。
いや、違う。私は彼にはやく、会いたい。抱きしめたい。彼の闇を、救える人間でありたい。
「…うん。三蔵に会いたい」
「それでいいんだよ、頼華!」
揺れ動くジープの中で、私は手元にある彼と同じ赤マルに火をつけた。
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見つけた、金髪の、私が追い求めていた、彼が。
「…見つけた!!!」
「ちょ、おい!頼華!!」
悟浄に止められる声を振りほどいて、ただ目の前の闇に手を差し伸べた。
「…頼華」
「やっと、やっと会えたぁ」
「おま、ちょ、いててて!痛ぇっつーんだよ、クソが!!」
「…玄奘の馬鹿!」
「あぁ!?おまえに言われる筋合いなんてねぇ!!」
「みっともない所、見られちゃったね玄奘ちゃん」
眼前にいる眼鏡をかけているこいつが、玄奘を。と思ってしまえば、ドクンドクンと血が逆流していくことがわかる。
「…ねぇ。」
「「「(あ、これやばいやつ。/やばいですね。)」」」
「…うるさいド三流は黙ってくんないかな」
「化虚为怒,被蛇缠身而死」
知らないはずの言葉が、口をついて出る。それは蛇になって烏哭に纏わりついた。
「な、んだあれ」
「わー!!頼華すげぇ!!」
「…まぁあとは私たちで片付けましょう」
悟空たちが動き出してからあとは大丈夫だと思って、自分の手元にいる三蔵をみた。
「…お前あれ何だ」
「いや、分かんないけど…勝手に口から出た」
「お前も分かんねぇのかよ」
アレが、何だとか私にはわからない。少しびっくりはしたけれど。