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Amor vincit omnia__愛の勝利

第46章 宿命(XANXUS)



(XANXUS side)


「…あ?パーティだぁ?」


何を言ってるんだこいつは、と目の前にいるカス鮫を見遣る。


ス「…そんなに苛立ちながら俺を見るな。Ⅸ代目からの勅命だから断れねぇだろ。それに、」

「…なんだ。」

ス「…沢田綱吉からも頼まれた。」

「…ムカつく名前出すんじゃねぇよ、ドカス」


あのジジイ、何考えてやがる。あの糞ガキもだ。なんて苛立ちながらも勅命、なんて言われれば行くしかねぇか。とため息をついた。




遅く到着すれば既にごった返す会場に、既に帰りたいと思いながら車窓から外を見る。

「…XANXUS?」

「…何だ。」

「…やっぱなんでもない。」

恐らく緊張しているのだろう頼華。頼華自身も、パーティなんて8年振りなのだから。
”争奪戦”後に、参加する機会は幾度となく訪れていたのだが全て断っていた。擦り寄ってくるのは傘下に入りたいが為に恩を売ろうとする人間や自分の娘を嫁になんて、考える人間の欲望渦巻く場所には行く気なんか更々無かったから。


建物入口にピタリと付けられた車から降りてみれば、好奇の目で見てくるカス共に既に苛ついたが、それを分かっているかの様に、俺に手を出してエスコートしろと言わんばかりの頼華に少し和らいだ気がした。

会場に入れば、先程よりも騒然とする会場。耳を塞ぎたくなるほどに目を塞ぎたくなるほどに。
隣の頼華を見れば、柔らかく微笑んでいてこいつは覚悟しているのだと悟る。
ウェルカムドリンクを持ったボーイが俺たちの所に現れる。ボーイは頼華にまでシャンパンを渡そうとして来て、俺が代わりに受け取った。


「…ノンアルコールを頼む」

『承知致しました。』

「…ありがとう、XANXUS」

「…当たり前だろ。」


まだ未成年のこいつに酒を渡してくるところを見るに、恐らく周りには20代に見えているのだろう。ルッスーリアに仕立てさせたドレスは、俺と同じ瞳の深紅色に、日本人に合うようにと暗黒色が混じる。珍しく化粧もしていてドレスと同じ深紅の口紅をつけて。

ふと、視線を感じた。恐らく、俺と似たような境遇であろうその男は、擦り寄ってくる女共の相手をしながらも、ちらちらとこちらを見遣る。…この視線は頼華に注がれている。頼華本人は気付いてないようだ。
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