第43章 道の先には(火神大我)
「…は?今なんて」
「だ、だから…」
彼女が言うには、こっちの人は身長が大きいだの手足が長いだの、胸が大きいだの、卑怯だ、と。チアリーダーも卑怯だの、抱きついてるし、だのなんとか。
「…そんなことかよ」
「ちょ、そんな事って…!!」
真面目に悩んでたのに…と落ち込む彼女が愛しくて。1ヶ月ぶりに触れる彼女の匂いに、落ち着くな、と。
「…もしかして嫉妬?」
「…へ?」
「妬いてた、ってことじゃねーの?」
「なっ……!!」
やっと自覚した彼女は、耳まで真っ赤になっていて。
「…バカガミの癖に!!」
「はぁ!?何でそうなる!?」
やだやだ降りる!と暴れまくる彼女を絶対降りさせないと、力強くだきしめた。
「な、はなし…」
「…やっとちゃんと話してるんだからこのまま居ろ」
「うー…」
きっといま、俺の心拍はかなり激しいものになっているはずだ。そりゃそうだ、久しぶりの彼女が今手のうちにいるのに、離してたまるか。
「…あ、たしだって…」
「…うん。」
「…試合の後、大我に駆け寄りたいもん」
「…!」
あぁ、そんなことか。それでこんなにもこいつは。
「なら今度からそうしろよ」
「…え?」
「いや、俺から先に行くわ頼華の所に」
そう言えば、久方ぶりにみた彼女の笑顔にまた、俺は強く抱きしめた。
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「I'm sorry I'm late.(遅れてしまってすいません)」
ア「お、来たか。遅ぇぞ、大我、頼華!」
今日は本試合。少し遅れてしまったけれど、頼華と手を繋いでチームメンバーの元に行けば冷やかされてしまった。
本試合では力を存分に発揮できた。試合中、横目でベンチを見れば俺の名前を一生懸命に叫ぶ彼女が可愛くて。
ピー、と試合終了のホイッスルが鳴る。と、同時に俺は彼女の元に駆け出した。
「大我!!」
「勝ったぜ、頼華!!」
自分よりかなり小さな彼女を抱き上げてそういえば、嬉しそうに笑う彼女の姿があった。
道の先には
___必ずお前がいる
(大好きだからこそ嫉妬する)
(大好きだからこそ笑っていてほしい)
end
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あーかっこいいよ火神くん!
おまけ▶︎▶︎R18