第42章 素直に(サンジ)
今、一体何が起こっているのか理解が追いつかない。なんで、わたしは、サンジの部屋にいるのか、なんて。ベッドに腰掛けたまま、いまだに続く無言の空間。
「…わ、たし」
戻るね、なんて声をかけて立ち上がれば、強く引っ張って止めるサンジの手。
「…っ!?」
「…駄目だ。」
「…え?」
「…お前が、好きだ」
「っ…!??」
彼は一体何を言ってるの、彼が、わたしを……??そんなはず、ない。涙があふれてきた。
「そ、んなわけない…」
「…」
「…っだって!あんなに!いつもいつも私には冷たいくせに!」
「…」
「サンジがわたしを、すきなわけ、ないよ」
「…本当にすきなんだよ、ライカ」
「っ…!!」
はじめて彼の口から紡がれる、わたしの名前。
「…こんなとき、に、呼ぶなんて、ずるぃ…っ」
「…あぁ、狡いな」
そう言った彼と目が合う。彼の手が伸びてきたから、反射的に目を瞑れば優しく拭われる涙。
「…どうしていいか、わかんねぇんだ。」
「…っ」
「…初めてなんだよ、こんなに人を好きになったのは」
「…サンジ、」
照れた彼の顔、はじめてみた。
「…お前は?」
「え?」
「…俺の事、どう思ってんの?」
教えて、ライカ。と手を握られて。
「…わたし、も…」
「うん」
「…サンジが、すき」
「…あー、」
良かった、なんて。俺より小さい体を思わず、腕の中に閉じ込めた。
「ま、まって、サン…」
「だめ、またない」
近すぎる彼の顔に思わず、顔を背ければ逃がさないとばかりに強く手を握られて、優しい口付けが降ってきた。
「…もっとはやく言えばよかった」
「…え?」
「ゾロの野郎に、取られるんじゃねーかって」
「…っ!」
ぶわわ。と顔が赤くなる。
「なにそれ、可愛い」
「っ…ばか!」
「怒った顔もかわいい、照れてる顔も。ぜんぶおれに見せて?」
素直に
__なったからには、もう我慢しない
(こんな可愛い顔、誰にも見せんなよ)
(ちょ、サンジ…!)
(あー、可愛すぎ林檎みてぇ)
やっと、くっついたか。なんて扉の前で聞いていたナミとロビンは微笑んでいたのも知らずに。
end
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リクエスト、ありがとうございました!
おまけあり▶︎▶︎▶︎