第42章 素直に(サンジ)
(サンジside)
いつもの様に、女性陣に、俺特製オレンジジュースを作る。
あいつは今日はどんな顔して、飲んでくれるかな、なんて思いながら、あいつのオレンジジュースだけ、気づかれない程度に量を少し増やして。あいつは、気づくことは無いだろう。俺の気持ちも、込めて。
「ン〜ナミすわぁぁぁぁん、ロビンちゅわぁぁぁぁん!サンジ特製、オレンジジュースで御座います。」
いつものように女性陣に運んでいく。
「…おらのお前の」
「…ありがとう」
本当はライカって、名前呼びたい。呼び捨てにしたい。けれど、うまく言えなくて。
こんな気持ち初めてだから、うまく言い出せなくて冷たい態度をとってしまう。
受け取ったあいつはあっという間に飲み干すと、逃げ出すように駆け出した。
ナ「あら、追いかけないでいいの?」
「…え?」
ナ「ライカのこと。」
好きなのバレバレじゃない。なんて笑うナミさん。
「…あー、バレてたんですか」
ナ「もろに、って感じなくらいにね」
ロ「はやく追いかけた方がいいんじゃないかしら?」
「…ありがとう、レディたち」
ふたりに背中を押されて。俺はあいつを追いかけた。
俺が着いたころには、船尾にはあいつとゾロの姿。
仲睦まじいふたりの姿に俺は拳を握りしめていた。
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あれから、完全に避けられている。見たいはずの笑顔が、あのマリモの隣にあって。
いくら、あいつの好きなものを食事時に出しても、あいつの隣にいるのはマリモ野郎で。
今日も、トレーニングルームでふたりでいるんだろうと思えば思うほど。どうしていいかもう、分からなくなっていた。
ナ「まったく、世話のやける」
「…ナミさん」
ナ「そんな顔してないで、はやくライカに好きだって言えばいいのに」
「…」
ナ「ボヤボヤしてたら、もう手が届かない所にいっちゃうわよ?」
もう、迷わない。そう覚悟を決めた俺はトレーニングルームから2人が降りてくるのを待ち伏せしていた。
降りてきたあいつは咄嗟にゾロの後ろに隠れやがる。
それにまた、妬いてる自分がいた。
「…こいつ、借りるぞ」
ゾ「あぁ、そういうことか。」
ライカの手を引っ張って、俺は俺の部屋に向かった。