第42章 素直に(サンジ)
彼にとって、私は女じゃないのだろう。
何十回、いや何百回と分かっていたはずの彼の態度に心は傷ついていったから。
「ン〜ナミすわぁぁぁぁん、ロビンちゅわぁぁぁぁん!サンジ特製、オレンジジュースで御座います。」
紳士な彼はそういって、ナミとロビンにオレンジジュースを渡す。
「…ほら、お前の」
「…ありがとう」
決して彼からは名前を呼ばれない。決して、ナミやロビンにするような態度でもない。
もう、限界かもしれない。
受け取ったオレンジジュースを、はやく飲み干して私は逃げるようにその場から離れた。
「…はぁ。」
分かっているはずなのに、慣れてるはず、なのに。
サンジの態度に、傷つく心。
「…もう、やめようかな」
ゾ「なにをやめるんだ?」
「…ゾロ」
誰もいないはずの船尾に、いつの間にかゾロがいた。
ゾ「お、まえ…なんで泣く!??」
「え?」
ゾ「ったく、おら動くな」
「ちょ、痛い…!」
ゾ「我慢しろ」
ゴシゴシと私の涙を拭うゾロに、自然と笑いがでてきた。
「…ふ、あはは!」
ゾ「笑えんじゃねーか」
「え?」
ゾ「なんでもねーよ」
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あの日から、サンジを避けるようにした。この気持ちを、はやく忘れてしまいたくて。視界に彼が入るだけで、逃げるようにゾロのところにいって。
また来たのか。なんて言うゾロは、口先とは違って私を受け入れてくれて。今日も、私はゾロのトレーニングの付き合いをしていた。
ゾ「…ふ、終わりだ」
「お疲れ様ー!!」
ゾ「おう。」
ゾロに背中に乗ればいいと言われて、それだけの付き添いなんだけどサンジのことを考える暇がないくらい、充分な時間だった。
ゾロとトレーニングルームを降りるとすぐに。
見たくない、久しぶりに見た彼の姿が目の前にあって。咄嗟にゾロの後ろに隠れてしまった。
ゾ 「…おい、ライカ、お前何してるんだよ」
「え、あ、いやぁ…何でだろ」
目の前にいるサンジは未だに、何も喋らない。
ゾ「で。お前はなんか用があんのかグル眉」
「…こいつ、借りるぞ」
ゾ「あぁ、そういうことか。」
いーぜ。なんて言うゾロは、私をサンジに差し出した。