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Amor vincit omnia__愛の勝利

第41章 決意(XANXUS)





十字架を背負っていくことなんて知っていた。わかっていた。それを知っていても、尚。壊れ始めてしまう前に、離さないように握りしめていたから。






「…XANXUS、」




こんなに、血に穢れても、それでも求めているのはあなた、だから。



あなたを苦しめるものすべてに、はやく終わりが来るように。

そして、あなたを幸せにするものが、私の一番近くにあるように、と。






________






俺は、”正当な後継者”にはなれないと知ったあの日から。


俺の中にながれる血は、あのジジイとは関係ないものだと、知ったあの日から。





憎悪や憎しみが、溢れ出そうになるほどに俺は俺以外の人間が、嫌いになっていった。



総本部で開催されたパーティ。興味なく、ただ、いつか、と目の先にいる”目的”だけを見据えていた、のに。



ふと、目に付いたひとりの餓鬼。あぁ、傘下にいる日本の”極道”の娘か、と。その餓鬼は、なぜか一番遠い場所にいる俺を見つめていて。

何故か目が離せなかった。






頼華、と呼ばれているその餓鬼はいつしか俺の近くにまで来ていた。あのカス鮫から頼まれ、たった7歳の乳臭い餓鬼を幹部に、と。



俺も焼きが回ったもんだな、なんてそう思ったが、思った以上の戦力に、拒否はできなかった。




















冷たく、なにを考えても、なにも通じない氷の中。聞こえないはずの、声が俺の頭に響いている。


何度も俺の名前を呼ぶそれに、居心地がいい、なんて思ってしまって。









8年振りにみる、頼華の姿。あの頃より、伸びた身長。顔もほんの少しだけ、成長している気がした。












まさか、2回も”これ”を受けるなんて。


半面だが、俺にはわかった、苦痛で歪む頼華の顔が。











謹慎を受け、何も、する気も起きずに呑んでは寝ての毎日。



毎晩、毎夜、聞こえてくる彼女の歌声。


祈るように歌う彼女の声に、苦しくなる。





「……チッ、」



呑んでいた酒のボトルを放り投げる。

パリン、とボトルは扉に打ち付けられて粉々に割れた。







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