第39章 日常(XANXUS)
「お水、飲むでしょXANXUS」
「…あぁ。」
ベ「ほい、2人分。」
「え、これベルたちのじゃないの…?」
いつの間にかベルフェゴールはXANXUSと頼華の分の水を手にしていた。
ベ「いや、今取ってきたばっかだし」
「ありがとう、ベル」
ベ「んじゃ、俺たち任務あるからー」
「気をつけてね、マーモンも」
未だにXANXUSに羽交い締めにされている頼華は、ベルフェゴールとマーモンに手を振った。
「お部屋、戻ろうXANXUS」
「…あぁ」
ベ「相変わらず、仲良いよなぁ」
マ「仲がいいのは、いいことじゃないか」
ベ「まぁね。」
手を繋いで部屋に戻っていくふたりを振り返り、彼らはそんな話をしていた。ベルフェゴールにとって頼華は妹みたいな存在で。
マーモンにとっても、ベルフェゴールにとっても。頼華は大切な存在には変わりない。
朝から見せつけてくれるよな、とベルフェゴールは笑っていた。
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部屋に入った瞬間に、降ってくる触れるだけの口付け。
「…XANXUS?」
「…んな格好で出歩くんじゃねぇよ」
「へ?」
言われてみれば、ロンTにショートパンツの頼華の格好は情事後のソレと一緒。でも15歳の少女にとっては、何気ない格好なのだが。
「…無自覚か」
「どういうこと…?」
「…なんでもねぇ。」
XANXUSは頼華から受け取った水を飲み干し、無自覚にもほどがある、なんて思っていた。
「ねぇ、今日買い物行きたいんだけど…」
「あぁ。」
彼のその短い返事だけで、あ、着いてきてくれるんだ、とすぐに理解した彼女は出かける準備をし始めた。
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オフの日にふたりで出かける時はいつもXANXUSが運転してくれる。滅多に見ない彼の運転する姿に、トクトクと鼓動が早くなる。
オフの日であっても、彼らの服装はほとんど変わらない。ヴァリアーのボスとして、マフィアとして。いつ、いかなる時もすぐに対処出来るように。
ふと、XANXUSの右手が助手席に座る頼華の太腿に乗せられる。彼女は分かっているかのように、XANXUSの手を握った。