第39章 日常(XANXUS)
「ふ、わ…ぁ」
カーテンの隙間から入る眩しい光は、朝が来たことを告げている。窓辺に咲くプリムラの花が綺麗に咲いている。
「…喉乾いた」
ベッドサイドのテーブルに置いてあるミネラルウォーターに手を伸ばしたけれど、それは空のままで。あぁ、昨日そう言えば飲みきってしまったのだと思って。室内の冷蔵庫ももう、空だったな、なんて。今日買い物行かなきゃなぁなんて、隣に未だに眠る彼を見る。
彼、XANXUSはまだ寝ていた。その寝顔は穏やかなもので、それは私だけの寝顔。
「…そうだ、お水」
XANXUSを起こさないように、ベッドから抜け出てバスルームに向かう。顔を洗って、キッチンに行こう、と。
鏡を見れば、ロンTの首元からのぞく紅い花。昨日のXANXUSとの情事を思い出して、胸がきゅんとなる。
冷たくて気持ちいい水で顔を洗えば、眠かったはずの目はしっかり開いていた。
「…よし、」
軽く髪も溶かして、ぺたぺたとバスルームを出る。まだ寝ているXANXUSの分のお水も持ってこなきゃ、なんて思って部屋を抜け出した。
今日、彼と私はオフの日。ロンTとスリッパでヴァリアー邸内を歩いていく。
通り過ぎる部下たちから、おはようございます、と挨拶されながらキッチンへ向かった。
ベ「あ、頼華じゃん」
マ「ム、随分はやおきだね」
「あ、ベルとマーモン!おはよ」
ベ「おう、おはよ。」
マ「おはよう、頼華。」
キッチンの前にいたのは、ベルフェゴールとマーモンだった。
ベ「今日ボスもお前もオフだろ?」
「ん?そうだね」
マ「こんな朝早くにどうしたんだい」
「あー、喉乾いちゃって。部屋のお水空だったから、取りに来たの」
ベ「じゃあ今日買い物行くの?」
「うん、XANXUSがよければふたりで行きたいなって。」
なんて会話をしていたら、後ろから引っ張られて思わずふらついた。
ベ「あ、ボス」
マ「おはようボス」
「…あれ、起きちゃった?」
まだ寝ぼけているのか、後ろから羽交い締めにしてくるXANXUS。
「…ひとりで出歩くなと言っただろうが」
「喉乾いちゃって…ごめんね?」
羽交い締めにしてきて首元に顔を埋めるXANXUSの頭に手をやる。思ったよりふわふわしている彼の頭。