第34章 お題3
『その罪ごと』ヒロイン
10代が媚薬、って思ったので(?)成人済にしました。
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「宅急便でーす!」
ピンポンと屋敷に鳴り響くチャイム。あ、来た。とパタパタとインターホンにかけて行けば執事によって止められた。
「奥様、わたくし共が受け取りますので」
「大丈夫よ、ミカエルさん。」
どなたから?なんて宅配業者に声をかければ、やっぱり思っていた宅配便だった。
「ほら、やっぱり。」
「左様でしたか、失礼致しました」
今、日本の跡部家本邸に帰ってきている頼華は朝の出来事を思い出していた。
『今日、忍足からの荷物が届くらしいから受け取り頼むな』
そう言った張本人、跡部景吾は自分が主開催予定のイベントの打ち合わせで本社に出向いていた。財閥の当主になり、普段いるイギリスだけではなく母国である日本やアジア圏など、世界中を飛び回っていた。頼華といえば、妻になって幾年か経つが今日はじめて跡部とは別行動になっており、昼からの予定の彼女は未だ本邸に居たのだ。
息子と娘も連れて帰って来ているが、あまりにも日本での時間が取れそうにもないので、私の実家にお泊まりに行かせていた。
直接宅配業者から受け取り、ありがとうございました、と声をかければにこやかな笑顔で青年は去っていった。
「…ん?手紙…?」
宅配物につけられた手紙、それは忍足から頼華宛だった。
自室に入り、宅配物をテーブルに置き、手紙を開けた。
「…ふふ、みんな元気そう」
忍足からの皆の近況報告だった。普段は跡部からしか皆のことを聞かないから、頼華自身とても新鮮なものだった。
手紙の最後には、この宅配物はクッキーだと書かれていて。どうやら私も食べてね、とのことだった。
「んー…」
朝早くからバタバタしてたからか、今お腹は減っている。宛先は跡部だが、少しならいいかな、と丁寧にされた包装紙を開けた。
缶入りクッキーで、お腹のすいた彼女の鼻腔を擽るには充分だった。
「…あ、美味しい」
どこのクッキーかな、なんて缶をまじまじと眺めていると、ドクン、と心臓が跳ね上がった。
「…え、な、にこれ…っ…!」
ドクンドクンと徐々に激しくなる鼓動。身体も熱くなっている。これは、一体何が起こってるの_____?