第31章 立ち塞がるもの(一方通行)
「な、んだ……ありゃ、」
一方通行の見る先にいる頼華と打ち止めの周りには、明らかに科学のソレとは異なったもの____透明な壁、というべきか___それが立ち塞がっていた。
「…私は上条当麻とは、違うわよ。たしかに”双子”なんて言われてるけど、ちょっと違うのよ。」
どういう経緯かはわからないが、生まれる際に魔術サイドから何かしらの攻撃を受けてしまっていた母胎。それに気づかなかった上条夫妻。当麻自身、母胎にいるときからすでに”幻想殺し”を獲得していたから及ばなかったのだが、それが”妹”である頼華になんらかの影響を与えていたのか。
あの、何でもしてくれる有能な医者でも、彼女の検査をいくらしても原因が見つからず。
頼華はまれにみる、魔術サイドと科学サイドの力を獲得していたのだ。
だが、彼女は”レベル0”そこは当麻と変わりなく。
と、いうよりは彼女の能力は科学では測定不可能なもの、と結論づけられた。
「その力よ、その力がミサカは見たかったの!」
「……この、左手は守るためのもの。」
「じゃあ、右手はぁ?」
「……右手はすべてを燃やし尽くしてしまうもの、よ!!」
その透明な壁のなかから出た頼華が、番外個体に右手を向ければ、番外個体の周りの物がすべて吹っ飛んで行った。
「……私も、あなたに直接攻撃するつもりはない。」
「……頼華!」
「……ごめんね一方通行、この子をちゃんと守るから」
そう言って一方通行に微笑んだ頼華は、番外個体の攻撃によって雪の上に沈んだ。
「クソが、クソがァァァァァァ!」
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