第25章 Qualcosa da amare(XANXUS)
「…」
こんな部屋、あったか。と思った。
どう見ても他の扉より真新しいそれに鍵をさしてノブを回した。
中に入るとXANXUSの自室と同じような作りになっていた。
だがひとつ、違ったのはブバルディアの花。
それは10月10日。己の誕生花だった。
XANXUSは扉を次々に開けていく。
バスルーム、ダイニング__そしてここか、そう思い扉を開けた。
扉を開けた先にあったのはキングサイズのベッド、寝室だった。
「…ここに居たのか」
カーテンが締め切られた部屋の中央にあるベッドの真ん中にいる人影_頼華だ。
「…ボス」
「…違うだろ?」
「…XANXUS、」
朝から触れていない彼女が今目の前に。
早急に彼女の横に腰掛けた。
「XANXUS、」
「…何だ」
「Buon compleanno.」
「Grazie」
彼女の頬に触れるとピクリとする反応が可愛くて。
静かに口付けを落とした。
「あ、あのね。プレゼント、なんだけど…」
「…お前は何をくれるんだ?」
「…たし、」
「…は?」
「プレゼントは…わ、わたし!」
恥ずかしさゆえにか、そう言った彼女はぎゅっと目をつぶって俺の腕に抱きついてきた。
よくよく見ればこれは服を着ていない?下着姿、か…?
俺のためか?なんて自分らしくないことを考えながらも、暗闇でも分かるくらいに赤くなった彼女が愛おしく感じた。
あの木の下の出来事から、言わば清いお付き合いをしていたふたり。
キスはするけれどそれ以上はXANXUSはしないでいたのだ。
というよりも、自分よりも幾分も小さい頼華を壊すのでは__そう思って己の雄を我慢してきていたのだが。
一方で頼華は自分に魅力がないのか、なんて的はずれなことを思っていたのだが。
「…いいんだな?」
彼女の気持ちを汲み取りベッドに押し倒す。
「…いいよ、XANXUSだから。」
「…頼華」
「…XANXUSが、いいの」
頬に触れる俺の手に頬ずりしてくる彼女に俺はもう我慢しないことにした。