第23章 紫煙(XANXUS)
相も変わらずにこにこと笑顔を絶やさないティモッテオさん、動揺を隠せない自分、眉間の皺を寄せたままのXANXUS。
どうやらティモッテオさんのボディガードは知らなかった様子でザワついていた。
「俺も知っていたぞ?」
ふと声のする方に目をやればそこには沢田家光の姿。
「…叔父さん!」
そうか、全く気づかなかったけれどボンゴレ門外顧問の家光さんまで来てたのか。なんてどこと無く納得しながらあれ、なんの話だっけ、なんて考えてしまっていた。
「…叔父さん、だと?」
ようやくXANXUSが口を開いたと思ったら…あれ、言ってなかったかな。
「言ってなかったっけ?うちのお父さんの弟が家光さんだよ。
だからツナとは従兄弟になるね。」
「…聞いてねぇ」
「あ、ごめ……わ!」
隣に腰かけていたはずなのに気づけばXANXUSの膝の上で。
人前!降りたい!と目線で伝えれば、あとで覚えとけと言わんばかりのXANXUSの目線が怖い…
「…言いたいことはそれだけなのか」
私の腰に回されたXANXUSの手。
XANXUSはティモッテオさんを見据えていて今にも手を出しそうな気配に、私はXANXUSの手に自分の手を重ねた。
「…別れなさい、そう言ったらどうするかね?」
「ハッ…聞くわけねぇだろうが」
「…ふふ、言うと思っていたよ」
…これはもしかして試されてたのかな?
たとえXANXUSが私を手離したりしても私は彼から離れていくつもりはなくて。
それはきっと彼もおなじ。
あの木の下の日、そう誓ったから。
その気持ちでティモッテオさんの目を見つめていた。
「頼華ちゃんをXANXUSの正式な婚約者にしたいのだが。いいかね?」
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あれから家光叔父さんとティモッテオさんを証人にして、私は正式にボンゴレⅨ代目の息子XANXUSの婚約者となり、ボンゴレの伝統に則り証人として炎の印を貰った。
「…XANXUS、あとは分かってるね?」
「……あぁ」
短いけれど貴重な親子の会話に、私の頭は未だに疑問符が浮かびながらも親子にしか分からないのだろう会話をしたふたりを見て少しほっとした。