第4章 私の太陽【煉獄杏寿郎】
宇随は守る順番を決めている
1、嫁
2、一般人
3、自分
俺はこの腕の中にいる深影さえも失いかけていた
『お前の守りたい物はなんだ?』
あの日の宇随の言葉が聞こえてくる
宇随…俺は全部守りたい…この手からこぼれる事なく全部を それが無理な事だとは分かっていてもそう渇望する事を止められないのだ
……お………くだ…さい……
……ごく……ん
ゆっくりと覚醒する中で深影?の声がする…
「起きて下さい!!煉獄さん!」
「!!」
目の前にいる杏さまがパチリと
両目を開け私を見る
「顔が赤いな…体も熱い…よもや熱があるのか?」
杏さまが少し顔を上げ私の耳元に顔を埋め頬を合わせて確認する
「えっ?…杏さま…っ…待って下さい」
それから抱きしめてくるので思わず声をあげた
こ…怖い…笑顔が怖い…
「もしもーし煉獄さんお目覚めですか?」
杏さまの背中側に立っているしのぶさんの顔が…私からしっかり確認できる
「胡蝶か!おはよう!深影が熱があるようだが」
「それ…発熱ではありませんよ
煉獄さん今の状態分かってますか?貴方が抱きしめて離さない所を私に見られて恥ずかしいがって火照ってるだけですからね…」
「よもや!」
「それにここは病室ですよ?ここには年頃の娘や子供もいるって事忘れてないですか?
昨日 深影さんの隣に居てくれて良かったとは言いましたがこんな意味では無いです」
「それにいつまで深影さんを抱きしめてるつもりですか?食堂にアオイ達が朝食を用意してますから煉獄さんは先に洗面所で顔を洗って下さい!」
扉の影に隠れていた すみちゃんが手拭い 剃刀 石鹸 歯ブラシを持って杏さまに走り寄り「ご案内します」と言われ
ようやくベッドから下りて部屋を出て行った
しのぶさんと2人きりになり私も怒られそうでそわそわする
「…煉獄さんの手前怒りましたが 良く眠れたみたいですね 目が以前の深影さんに戻りました」
たしかに杏さまが潜り込んだ時に少し覚醒した記憶はあるけど
温もりと匂いに安心して深く眠れた自覚はある
「もう出血も止まってますし 今日の産婆さんの診断次第で退院日を考えましょう」