第4章 私の太陽【煉獄杏寿郎】
「深影ちゃーんお見舞に来たよ」
「甘露寺…病室だ少し声を…」
「おおー甘露寺!伊黒も一緒か!ありがとう!」
杏さま一人でも大きな声が蜜璃ちゃんの明るさも加わってなかなか賑やかさになった
伊黒さんが「騒がしくてすまないな」と私にこっそり言ってくる
「私は慣れてますけどしのぶさんは…どうですかね?」
2人でクスクスと笑いあっていると いつも伊黒さんの首元にいる鏑丸くんが何故か私になついてくれていつもの挨拶で私の右目をペロリと舐める
杏寿郎様と夫婦になり2年以上は過ぎていた 杏寿郎様だと堅苦しいからと言われて今は杏さまと呼んでいる
蜜璃ちゃんは始めは継子として屋敷に来ていたのが独自の呼吸を作り上げ今は恋柱にまでなっていた
継子の時から知っている蜜璃ちゃんは私にとって柱になっても妹のような存在で
私と杏さまを見ていると幸せな気持ちになるからと今でもたまに泊まりにくる
「深影ちゃんは体は大丈夫?」
蜜璃ちゃんがぎゅっと抱きしめてくる胸が当たって気持ちいいのやら苦しいやらで忙しい…ちょうどいい頃合いで伊黒さんが剥がしてくれる
これもいつもの光景だった
「煉獄…残念だったな」
「こればかりは仕方がないからな」
杏さまの手が私の肩に触れて撫でてくれる
それを蜜璃ちゃんはキラキラとした目で見ていた
今回の入院は流産だった
月のものが不安定だった私がしのぶさんの知り合いの漢方薬の先生から頂いた煎じ薬を飲み始めても効果が無く私には合っていないのだと思っていた時に
蜜璃ちゃんから私の作った桜餅が食べたいと言われた
私の漬けた桜の花と葉の塩加減が蜜璃ちゃん曰く餡と絡んで絶妙に美味しいらしい
なので張り切って大量のもち米を蒸していた時に猛烈な吐き気に襲われ心配した杏さまに蝶屋敷に連れていかれて懐妊が分かった
それからは無理もせず 皆さんから頂いた滋養のある物を食べていたのだけど
大量に出血してしまい流れてしまった
何が悪かったのか分からなくて泣いてばかりいたけど
それで体調を崩し体が弱っても仕方がないと杏さまに励まされて大分元気になっていた
「じゃあそろそろ行くか…甘露寺」
「深影ちゃんまたね」
「遅くなっても顔を見に来る」
「行ってらっしゃい」
賑やかに3人は柱合会議に向かった