第4章 私の太陽【煉獄杏寿郎】
「煉獄家の皆様は本当にとても優しい方々で私達の事も分け隔てなく接して下さいました…とてもありがたい事です本当に感謝しております…だから
勘違いをするな深影…お前は身分をわきまえなさい」
体が震える…こんなにも静かに怒る父さんは初めてだった
時代錯誤と言えば簡単だけど確かに戦国の時代から考えれば武家の血筋とただの庶民の私は妾にはなれても妻になどなれはしない
千寿郎様も初めて見る本気で怒る父さんの姿に背中に添えられた手が震えていた
私はどこかで父と母は喜んでくれる
そんな風に甘い夢を見ていた
ちゃんと考えれば分かる事だった涙が溢れ畳を濡らしていく
「深影!いつまで上座に座ってるつもりだ!」
部屋の空気が震えるくらいの怒号が響いた
父さんに初めて怒鳴られ体の震えが止まらない
杏寿郎様と千寿郎様の手から離れようと体を動かした時 杏寿郎様はグッと手を強く握って私を抱きしめた
「影森殿…深影は傷物ではない!」
「貴方は…情に流されている 煉獄家の当主としての…」
「幼い時から深影は…深影は俺の進む道を照らしてくれる光なんだ!俺は深影でないと駄目なんだ!目が多少不自由な事など問題はない深影が他人の物になることの方が耐えられない」
もう一度 杏寿郎様は父に向かい深く頭を下げた
「たのむ俺は深影でないと…駄目なんだ…影森殿深影を妻に…貰いたい」
「影森…俺からもお願いしても駄目か?」
声が聞こえた方を見ると愼寿郎様が入ってきた
「煉獄家なんてもんは俺の代で終わったのも同じだ この馬鹿が頑張ってはいるがな」
「愼寿郎様!」
「俺が終わらせたのだ だから不知火家も自由にしたんだ 終わった家に身分などあるものか…杏寿郎も深影も好きにすればいい それだけを伝えに来た」
愼寿郎様は悲しい顔をする父さんを見て
「影森…本当に今までありがとう次の者には新しい道を行かせてあげてくれ」
そう言って頭を深く下げて出ていった