第4章 私の太陽【煉獄杏寿郎】
腕の中の柔らかな体がもぞもぞと動き頬に指先が触れる感覚がした
次に指は顔に掛かった髪に触れ鼻に移動して今は頬をつついてくる
俺が気付いていないと思ってるのだろう深影はくすくすと笑いながら指先を唇に移動してなぞりだした
くすぐったさに笑いだしそうなのを我慢するのが限界にきて指が唇の中央に来た瞬間にパクっと噛みついた
「キャッ!…おっおお起きてたんですか!」
慌てた声を出し恥ずかしいのだろう体温が上がっていった
すまんすまんと謝りながら深影を抱きしめると急に静かになり顔を上げる
「あの…すいません…途中で寝てしまって それに寝間着まで着せいただいたのですね」
「そんな事は気にしなくてよいのだ!そもそもは俺が加減できなかったのが悪い…体は大丈夫か?」
それに気を失っていなかったら深影を抱き潰して壊していただろうな…
そう思うほどに深影に溺れている
「はい…少しお腹が痛いですけど大丈夫ですよ」
黄昏時の光の中を深影を再び抱きしめて幸福感に浸っていると離れの勝手口から賑やかな足音が近付いてきた
土間の上がり口の襖を開けていたから部屋は丸見えで深影は土間に背を向けた状態で俺に抱かれていたから
入ってきた3人娘達と顔を俺が合わせる事になった
「夕食の時間ですよ」
「煉獄様の分も沢山用意しましたから一緒に食べましょう、とカナエ様からの伝言です」
「今日はさつまいもご飯ですよ」
幼い子供達だから同衾している意味は分からないのだろう俺達の姿をみてもニコニコと笑い
「もうすぐ準備が出来ますから食堂に来てくださいね~」
元気に走り去っていった
「カナエ殿が気を使い まだ分からない子供達を使いに出したのだろうな」
恥ずかしさで真っ赤になった顔が茜色の光と混ざり深影の顔が夕陽の様だった
深影の髪を櫛で梳いて包帯を巻きなおし
俺の髪は深影に結ってくれて
2人で手を繋ぎ母屋の食堂に向かった