第4章 私の太陽【煉獄杏寿郎】
口移しで水を含ませると飲み込んでゆっくり左目を開く
「大丈夫か?」
ぼんやりと俺を見つめ
深影がふにゃりと笑い今度は眠ってしまった
「ふふふっ…なんとも可愛らしいな」
全裸のまま土間に降りそのまま勝手口のすぐ近くにある井戸にいき水を頭から浴び体の火照りを冷ます
着物を着て桶に水を溜めて部屋に戻り手拭いで深影の体を清めた
体の火照りも冷め冷静なり深影の体を見ると前も後ろも内股にも沢山の吸い上げた痣が残り
己の独占欲の激しさに苦笑いをするしかなかった
汚れるのを気にして体の下に敷いた羽織には出血の後は余りなく 2人の交じりあった体液に血液が混じっていた程度だったので
深影の負担が少しは軽かったのかと安心した
寝間着を深影に着せて緩く帯を結び布団を掛けた
障子を半分開けて部屋に漂う行為の残り香を飛ばす
もう一度井戸に行き羽織の汚れを洗い部屋に戻った
深影の横に胡座をかいて水を飲みながら顔を眺め髪をひとすくいして指に絡めサラサラとほどけていく様を何度か繰り返し眺める
日の光で薄茶色の髪が金糸のようにキラキラとしていて綺麗だった
今も昔も深影は特別だったのだと思う
母上が時々楽しそうに深影の髪を梳かし結っていた
火垂の髪も同じようにしていたと思うのだが何故か母上と深影の記憶しかない
父上の道場で稽古をしていた火垂の方が遥かに長い時間一緒にいたはずなのに
稽古で怪我をして涙ぐむ俺に
「杏さまは又強くなりました怪我は強くなるたびに出来るのですよ」
そう言いながら深影が薬を塗ってくれた
深影の記憶ばかり溢れている
妹だと思い込もうと無意識にしていただけで 長い時間俺は深影ばかり見ていたのだな…
さっきまでは艶のある女の顔をして俺を翻弄した深影が幼い頃と変わらない寝顔に顔も気持ちも緩み瞼が重くなる
怪我をした隊士を担いで蝶屋敷に寄り 少し仮眠して深影の所に来て体を合わせたのだから仕方ない
今日は大事な話があって来たのに
深影の顔を見たら自分の物にしたくて夢中で抱いてしまったな…
深影の隣に添い寝して腕の中に抱き寄せた温かくて柔らかくて幸せな気持ちになる 深影の深い寝息に合わせる様に俺の意識も次第に深く沈んでいった