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かわいいひと

第1章  歩く姿は… 【不死川 実弥】





「しのぶ様からうかがいました」


そう答えると、苦虫を噛み潰したような顔をしたので不安になった。



「あの…甘味は苦手でしたか?」



「大丈夫だ、いただく」


不安が顔に出てたみたいで不死川様は私の顔を見ると、そう言って重箱を自分の方に寄せて、代わりにお茶とお菓子を私に出してくれた。



緊張して喉が乾いてたので、お礼を言って一口お茶を飲んだ。


あれ?不死川様は自分でお茶をもってきたな。普通柱が自分でするだろうか、お弟子さんとかがしないかな?蝶屋敷では私達の仕事だし…
それにこの屋敷は他に音がしない



「お手伝いさんとかお弟子さんは居ないのですか?」


「いない…続かないからな」



「全部自分でされてるのですか?」



「あぁ」


そう答えながらつぶ餡のおはぎを一口頬張った。



少しだけ口角が上がった気がする。口にあってたみたいで安心して思わず微笑んでしまった。


目の前に座る不死川様は見た目も話し方も怖いけど、甘味を食べて少しだけ喜ぶ人で、なかなか目覚めなかった私を心配してくれた優しい人かもしれない。


蝶屋敷に帰ってからしのぶ様に不死川様の所で働きたいって相談してみよう。


お手伝いさんや弟子が続かない理由はなんとなく分かるけど、命の恩人に一番役に立てる仕事を見付けた気がする。




私もお茶菓子をいただきながら、少しだけ蝶屋敷での生活を話をすると
それ以上話す事もなくなり帰る事にした




不死川様は玄関まで私を見送ると



「行くなら昼間に行け」



家族を埋葬した場所の地図を渡してくれた



「ありがとうございます」


受け取った地図を手拭いで大事に包み懐にしまった



「でもまだ村に帰る勇気はありません」



最後に嗅いだ小太郎の甘い匂いを思い出し涙がまたこぼれた


「すいません」

うつむき袖口で涙をぬぐってると




大きい手が私の頭をごしごしと擦った

撫でる…にしてはかなりの強さだったので

「不死川様…ちょっと痛いですよ」



「我慢しろ鍛練だ」



そんな事を真顔で言う不死川様は、やっぱり優しい人だと思い胸がキュッとして笑顔になれた



「はい、ありがとうございます」



もう一度お礼をして蝶屋敷へ帰った







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