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かわいいひと

第4章 私の太陽【煉獄杏寿郎】





1週間ぶりに深影に会った


久しぶりに見た深影は左側の腫れも引いて赤黒くなっていた痣も薄くなっていた
ただ右目には包帯がまだ巻かれている








「10日間は蝶屋敷で安静です」

あの日治療を終えた胡蝶カナエが俺と鴉の案内で蝶屋敷に来ていた影森殿と穂火殿に向かい言った


穂火殿は酒を取りに行かせた事を悔み
影森殿は祭りの準備を終えて仲間と飲んでいた事を後悔していた


暴力を振るったあの男が悪い


しかし隙を作ってしまった事に2人は自らを責めていた



誰がなんと言って慰めても傷だらけの娘の姿を前にしては意味の無いことだと知った













他の病室は男の隊士が使っているからと深影は蝶屋敷の離れを病室代わりに使っていた



「あれから任務が忙しくて会いにこれなくてすまなかった!」


離れは畳の部屋なので布団が敷いてあり
深影は浴衣に薄い羽織を肩から掛けて布団の上に座っていた

左目は腫れはひいていたが視力はまだ回復していなくてぼんやりとしか見えていないとさっき診察室に寄った時にカナエ殿が言っていた



「髪の色で煉獄の皆さんはわかりますね昨日は当主様と千寿郎様が来てくださいました」


「なんと!父上が…か」


父上は自分に女の子が居なかったから不知火家の姉妹をとても可愛がっていた

火垂に剣術を教える時も子供の俺が焼きもちを焼くくらいに優しく丁寧に教えていたし

深影が幼い頃近くの河原で摘んだ花で作った冠を「父上しゃまに」と父上の頭に乗せてニコニコと笑うから
父上は喜んで1日中かぶって過ごした事もあった


今の父上にまだ深影を心配するお気持ちがあった事が嬉しかった





「当主様に久しぶりに頭をなでていただきました 昔と同じ大きな温かい手をしてました」

幼い頃と同じ手だと今もお心は変わっていないと嬉しそうに話す

「それに視界がぼやけて鏡で自分の顔がよく見えないって言ったら千寿郎様が…」




千寿郎が深影の側にいき深影の顔をじっと覗きこんで

「深影は以前と同じで可愛いですよ」

と父上の真似をして


「頭を撫でてくれたんです…小さな手だったけど当主様と同じ優しい手でした」



いつもの笑顔の深影に安心した

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