第4章 私の太陽【煉獄杏寿郎】
急に冴木さんが立ちあがり簪を踏みつける
信じられない光景に自然と涙がこぼれた
「深影ちゃん…泣いてるのかい?大丈夫だよ俺が選んだのを本当はさ明日の祭りに一緒に行った時に渡すつもりだったんだよ」
袂から箱を取り出して渡してくる
明日の祭りに一緒に…そんな約束はしていない
「要りません…この簪は宝物なんです代わりなんて要りません!」
睨みつけると冴木さんの頬がひきつるように痙攣して気が付くと私は思い切り顔を殴られていた
先に痺れるような感覚がしたあと頬と鼻に激痛が走る 髪を捕まれ頭を振り回される
「女が口答えするな!」
髪を後ろに引っ張られ見上げた先に簪を握り絞めた冴木さんの手が私の目に写った
殴られるよりも強烈な痛みがくる…そんな恐怖にぎゅっと目を閉じて身構えてると冴木さんの奇妙な笑い声が聞こえる
「恐怖におびえる深影ちゃんは可愛いね」
そっと顔を上げると楽しそうに笑う冴木さんがいた
一瞬の隙をみて籠の中の酒瓶を1つ掴み思い切り冴木さんに投げつけるつもりが
反対に奪われ酒瓶ごと押し倒され私の顔の横で酒瓶が割れた
顔から肩にお酒が降り注ぎ右目に割れた破片が刺さった
こんな人に負けたくない
背中は階段に打ちつけられひどく痛い、左頬は殴られ右目には破片が刺さり血が涙のように流れ、頭は浴びたお酒でずぶ濡れだ ありったけの負けん気を燃やし立ち上がった
殴られて腫れてきた左の目で冴木さんを見ると
割れた瓶が刺さった私の血まみれの顔を見て少し後退り狼狽えていた
冴木さんを睨みつけたままもう一度酒瓶を握り渾身の力で足元に投げつける
バランスを崩し多々良を踏む冴木さんを突飛ばし階段から落とし背を向け走り逃げた
「俺を袖にしやがって!殺してやる!」
左目がどんどん腫れて視界がぼやける
恐ろしい叫びが聞こえて足がすくむ
恐怖に足がもつれそうになった時に鈴がチリンと鳴った
もう1つの宝物のが勇気をくれた気がした
振り返る事もせずに私は無我夢中で走り森の中に逃げた