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かわいいひと

第4章 私の太陽【煉獄杏寿郎】





春の祭りが明日から始まるせいか町は日が暮れても賑やかで屋台の設置やらで男衆の声がいたる所で響いていた










「深影ちょっとお願いがあるんだよ」

母さんが奥から呼んだ

「冴木さん注文はいつもの鶏すき焼きとお酒でいいですか?」

「深影ちゃん覚えてくれてるの?」


冴木さんは嬉しそうに笑う 「はい常連様ですから」つられて私も笑顔を返し奥に入った




小さな店なので冴木さんとの会話は聞こえていたみたいで 母さんは鶏すき焼きの準備をしていた

冴木さんは温めの燗が好みなんだよね

熱くなりすぎないように燗をつける

「母さんのお願いって何?」


「酒屋の息子が屋台組の時に屋根から落ちて腰をやらかしたんだって だから明日の配達は無理だってさっき親父さんが来てお酒置いていったんだけど 祭りだから足りないと思うのよ」


昨年も予想よりもお酒が足りなくて酒屋さんに追加で持ってきてもらったよね…

確かに在庫を見ると全然足りない


父さんも祭りの準備に駆り出されて帰りは遅くなるだろうし…


店内を見ると料理はあらかた出してるし母さん1人でも大丈夫そうかな

いつもなら人通りも少なくなってるけど今日は祭りの準備に追われてまたまだ賑やかだし危なくもないだろうし


「じゃあ これを出したら私が担げるだけもらってくるね」


「いや明日でいいよ」


「明日は朝から仕出しもあるからいつもの倍は仕込まないといけないんだから今日行くよ」


ちょうど好みの温さになったお酒と菜の花のからし和えの小鉢を添えて冴木さんに持って行った



「今日河原で摘んできたんです 菜の花の小鉢はおまけですよ」

最初の一杯だけお酒をそそいだ
「深影ちゃんは優しいね」と嬉しそうにお酒を飲む

「しかもちゃんとぬる燗だねありがとう」

と笑って私の背中をポンと叩いた

杏寿郎様とは違う感じのお兄さんみたいだな…冴木さんは


「鶏すき焼きはもう少し待って下さいね」


厨房に引っ込んで前掛けを外し籠を背負う


「じゃあ母さん行ってくるね」


「絶対に近道なんかしないで大通りを歩くんだよ」

「うん分かってるよ」


鈴の御守りもちゃんと身につけて勝手口から出ていった


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