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かわいいひと

第4章 私の太陽【煉獄杏寿郎】





その日は理由があって少し早めに店の入口を箒で掃き打ち水をした


「深影!久しぶりだな!」


理由の元が大きな声でやって来た 振り返ると


黒い隊服に白地に下から燃えるような炎の模様の入った羽織を着て、腰には日輪刀を差し以前の煉獄家の当主様のように凛としてキラキラと輝いていた


「杏寿郎様…おめでとうございます」

思った以上の凛々しさに持っていた箒か折れるくらいに握りしめた


「おぉ!深影ありがとう!」

久しぶりの杏寿郎様の笑顔がキラキラしている

もう一度上から下までじっくりと見つめた

黄金色と緋色に輝く髪と瞳に羽織がよく似合っている

「羽織が凄く素敵です…杏寿郎様にとてもお似合いです」


いつの間にか「杏さま」とは呼べないくらい男の人になっている彼をじっと見つめてしまう


「そんなに見つめられると恥ずかしいぞ」

そんな杏寿郎様も私をじっと見つめて言うから少しも恥ずかしそうに見えないんだけどな…


「お兄様の男ぶりが上がってるから妹としては感無量なんですよ」

「なんと!妹も口が上手くなったな」


「早く店に入って下さい、父も母もお待ちかねさんですよ」


いかにも!いかにも!と羽織を風にひるがえし店に入っていった


「妹…か」

「兄上は少し鈍感ですからね」


!!

角からひょこりと千寿郎様が顔を出して笑った

「姉上は誰かに夢中で僕のこと見えないくらいなのにね」


千寿郎様は私をからかう時に姉上と呼んだりする 可愛らしい弟だ


「いいのです そんな所ですら好きなのです…」


ただひたすら前を向く杏寿郎様の背中が…、悲しみを背負いながらも凛としたあの背中が愛しい


「兄上はいつも前ばかり向いて…たまに振り返って姉上のお顔を見たらすぐに分かるのに」


ぷうっと膨らませる千寿郎様の頬を指でつついて萎ませる


「ふふっ ありがとうございます…千寿郎様の事も大好きですよ」

可愛らしい仕草に思わず抱きしめた





「2人とも早く来い!」


店の入口近くに杏寿郎様が立っていた



今の……聞かれただろうか?


「姉上は母上のように柔らかいです」


私に抱きしめられたまま無邪気に言うので恥ずかしくなり顔が熱くなる


杏寿郎様は何も答えずに私達を見てニコニコと笑っていた




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