第4章 私の太陽【煉獄杏寿郎】
深影は薄い茶色の髪に薄い茶色の瞳でおっとりとした娘だった
同じ頃に産まれた俺達は主人と使用人の間ながらも
母親が仲が良かったせいもあり一緒に居ることが多く 何かを手伝うたびに
「杏さまありがとう」と笑う深影が妹のように可愛いかった
1つ年上の火垂(ほたる)は艶やかな黒髪に黒い瞳が美しい可憐な少女だった
ただ見た目が可憐なだけで中身は男勝りの性格で煉獄家で剣術を共に学んでいた
病気で床に付いていた母上の死と父上の炎柱としての何かが崩れ以前の炎柱の父上では無くなってしまい剣術まで止め自堕落な生活になってしまった
しかも父上は長年使えてくれている不知火家にも暇を出してしまった
屋敷を去る日に深影は千寿郎と抱きあいお互いずっと泣いていた
火垂はどうしても剣術をやりたいと風柱の所に行き弟子入りを認められすでに移っていた
「杏寿郎坊っちゃん …」
深影の父上、影森(かげもり)殿が俺の元に来て目線を合わせた
「今の父上様はきっと母上様を失って自暴自棄になってらっしゃるだけです
一度出て行きますが父上様が元に戻られるまで不知火家はお待ちしております
だから坊っちゃんも修行を頑張ってください」
影森殿に抱きしめられる
「いかにもだ!影森殿も待って居てくれ必ず父上も正気に戻られる
その時には必ず俺は立派な鬼殺隊になっているぞ!約束する!火垂にもまけられんからな!」
「深影!お前も離れても俺達の兄妹だぞ!」
なかなか離れない千寿郎をやっと引き離し深影と握手をする
「杏さまありがとう」
この時の深影はいつもの笑顔ではなく泣いて真っ赤になっていた目が忘れられない笑顔だった
今生の別れのような挨拶を交わしたが
同じ敷地に住まなくなっただけで歩けば30分くらいの所に不知火家は移り
母上殿の穂火(ほのか)が小料理屋を始めた
料理上手な穂火殿の店はなかなか繁盛していて深影はそこで看板娘として働いていた
俺も時々千寿郎を連れては食べに行ったりしていた
14歳位になり俺の体が男としての変化を始め気付けば深影を見下ろしていた
今まで同じ目線だった深影が見上げて俺を見る仕草や次第に丸みをおびた女の体になっていく…
意識はしなくもないが、それでも相変わらず深影は妹だったし千寿郎の姉の様な存在だった