第3章 20センチ 【時透 無一郎】
「三咲…待ってくれるんでしょ?約束が欲しい」
あの日命懸けで戦った、それでも上弦の下位なんだ
「鬼を斬る事にその為に命懸けで挑む事に変わりはないんだ…勝手な事だよね」
だからと言って我慢もしたくない
「でも、この約束があれば最後まで生き残り勝つ為に命を燃やせる」
三咲が泣いていた
はからずも彼女に対しても覚悟を迫ってしまった事を後悔した
でも三咲は僕の首に両手を絡めささやくように「約束…します」と目を閉じた
優しい口付けが落ちてくるのだと思った
始めは ついばむような口付けが次第に舌先が唇に触れ私の中に入ってくる
絡まりあう舌に頭が付いていかない
次第に水音が重なり時透さんの甘い唾液が溢れ口から漏れる
長い口付けが終わり唇を離すと 口から漏れた唾液を時透さんが舐めとった
「… 隠がきたみたい」
私の体を起こし少し乱れた合わせを整えてくれた
もう一度触れる口付けをして私から離れる
「続きは僕が大人になってからだね」
ニッコリと笑う顔はまた14歳に戻っていた
「他の柱と合同で隊士達にとても厳しい訓練をするから なかなか会えないけど…17歳より前に20センチ伸ばすから待っててね」
そう言って隠の背中に乗り時透さんは帰っていった
「早く大人になって」
小さくなっていく背中に聞こえないように呟き見送った