第3章 20センチ 【時透 無一郎】
質が悪いだけの問題じゃねぇな
体力も無けりゃ根性も足りない奴も多い
善逸も大概根性なしに見えたがあいつは弱音を吐き出しながらも、なんだかんだこなしていく
伊之助は気合いと体力と根性もあるがもう少し頭を使った戦い方を教えないといけない
今日はやっと全快した炭治郎が訓練に参加すると聞いて俺もだが
嫁達が一段と張り切ってにぎり飯をこしらえていた
時透は刀鍛冶の里から戻ってきて、雛鶴に「ちゃんと恋をしてるみたい」とわざわざ言いに来たらしい
「時透くん…なんか絶対あった」
嫁達の女の感って奴らしい…あのぼんやりさんが、お館様以外に興味のなさそうな奴に三咲ってのは何をしたんだ?
基礎体力をつけさせるため徹底的に走らせ、肺を強くし全集中の呼吸を長く出来るよう鍛える
全集中常中をすでに取得している炭治郎は走り込みも笑顔でこなし
「宇随さーーんお久しぶりです」
俺を見つけると手を振り駆け寄ってくる
柴犬みたいな奴だな…
「お前また上弦と派手に当たったらしいな!よくやったぜ派手に誉めてやる」
「甘露寺さんも時透くんも柱だけあって3日で回復したんですね、僕はまだまだです」
そうかこいつらは同じ宿にいたんだったな
「なぁ炭治郎 三咲ってどんな女なんだ」
ちょうど嫁達が炭治郎を見つけにぎり飯とお茶と香の物を持ってきた
「僕も神楽を舞うので、見せてもらいました神楽を舞う三咲さんはそれは凄く…」
そこまで言うと炭治郎は自分の額に手を当てて顔を真っ赤にして俺達を見る
「…凄く綺麗で柔らかい人です……」
頭のてっぺんから湯気でも出てきそうなくらい真っ赤な顔でふにゃりと笑いにぎり飯にかぶりついた
おい……時透と同じじゃねぇか
柔らかい人ってなんだ?なにかの比喩か?
嫁達も目を丸くして炭治郎を見ていた
ー終ー