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かわいいひと

第3章 20センチ 【時透 無一郎】





お面を外すと真っ赤な顔をした三咲がいた

膝立ちで三咲の頬に触れる、キリッとした目元があまね様に似ている


雛鶴さんが言っていた事を思い出す

「本当に恋なのか」


雛鶴さん…たぶんこれは恋だと思うよ



「神楽を舞ってる姿も綺麗だったけど、今の三咲が一番好きみたいだ」



「あっ……あの時透さん」


気が付けば顔を近づけていた、三咲の両手が僕の口にあたりそれを拒んだ



「私は時透さんより6歳も年上です それに…私から見たらあなたはまだ子供に見えています」

だから何?三咲の手を掴み両手で包んだ



「6歳くらいの年の差なんて何処にでもいる 旦那が10歳上だって珍しくないよ」

「女が上なのは余り聞いた事ないでしょう 今は大丈夫でも年を重ねたら…」


年は重ねられない
痣はもう発生してしまったから…

この事実も三咲に伝えないといけない、でも今は言いたくはなかった

「僕が子供なのは自覚してる でも玄弥も宇随さんも14歳位から背も伸びて体も大人になっていくって言ってた」



「だから17歳になるまでに必ず三咲さんと同じになるように20センチ伸ばすから待ってて欲しい」

優しく包んでいた手をギュッと握った











なんて綺麗な色なのだろう

薄く青味がかった瞳に見つめられて心臓がうるさい

あの日 突然に耳を嵌まれてから時透さんを時々思い出していた

あの時は凄く男の人の顔をしていた

でも今日の玄関で見た顔はやっぱり14歳で弟のような印象だった

なのに今はこんなにも心臓がドキドキして 時透さんの告白に喜んでる自分がいる

曖昧に答える事は一生懸命に思いを伝えてくれる人に失礼だと思った


「私はまだ時透さんには恋はしていません でも気持ちは本当に嬉しいんです
だから…20センチ待ってみようと思います」


少しだけ不安げに揺れていた瞳がパアッと明るくなって飛びつく様に抱きしめられた

流石に柱だけあって力がそれなりにあるので私は支えきれずに押し倒された形になってしまう

私の顔の横に両手を付いて時透さんが見つめてくる
また男の人の顔をしている…思わず目をそらすと


「ダメだよ、こっち向いて三咲…」


物凄く近い所に顔がある、何を求められているのかは分かっていた



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