第1章 歩く姿は… 【不死川 実弥】
「洗濯物は終わりました。今からお台所を使わせてもらいますね」
アオイさんに声をかけて私は台所にむかった
私が「鬼」という異質な者に襲われてから夏も過ぎ彼岸花が咲く時季を迎えようとしていた
家族を失った事と、鬼の毒の影響で心と体が悲鳴をあげてしまい長く床についてしまった
なほちゃん、きよちゃん、すみちゃんの3人からは甘やかされ
アオイさんからは厳しくもはげまされ
カナヲさんからはただじっと見守られる
そんな毎日を過ごしていたある日、しのぶ様から蝶屋敷のみんなや鬼滅隊の話を聞いて、ここにいる人はそれでも心優しく強く生きていると知った時
子供のように声を上げ泣いてしまった
そして私も強くなりたいと翌日から床上げをして皆の手伝いをしている
気持ちの整理がついた頃に、しのぶ様に私を助けてくれた隊士にお礼がしたいと話したら
今は任務中だから帰りしだい教えると言われ、今日やっとその隊士に会えるのだ
「あの方はおはぎが一番喜ばれますよ」
お礼となにか手土産を…と相談した私にしのぶ様は優しい笑顔でおしえてくれた
蒸かしたもち米を潰し、きな粉とつぶ餡を準備してると
「甘くていい香りですね」
すみちゃんがキラキラした目で覗いてくるのがとても可愛くて私も笑顔になる
「沢山作るから皆で食べてね」
「キャー!いいのぉ」
声が3つ重なった。
ふふっ すみちゃんしか見えなかったけど3人居たんだな
炭治郎さん食べるかな?伊之助さんと善逸さんは食べるよね
3人で楽しそうにはしゃぎながら仕事に戻っていった
出来上がったおはぎを重箱につめ風呂敷に包んだ時にカナヲさんが台所にきた
「カナヲさんいまから風柱様の所にいってきます。しのぶ様にはもう伝えてます」
「余り物ですが沢山作りましたから食べてくださいね」
そう伝えるとカナヲさんが嬉しそうに笑って
「ありがとう」
と言った。
普段は分かりづらいけど今回は喜んでくれてる。なんだか嬉しくて私からも「ありがとう」と言ってしまった
「それでは行ってきます」
私から「ありがとう」と言われ不思議そうにしているカナヲさんに声をかけ蝶屋敷を後にした